topspecial[わたしのおきにいり]
4周年特別企画 ピーラーブックレビュー


 



友利 香(ともとしかおり)
山口県生まれ、山口県在住
−PEELERライター−

作品を見て、はしゃいでいる時が一番の幸せです。

時々、近郊の美術館で監視アルバイトをしています。
作品の肌の色は、人に見られることで、日に日に深みを増していくような気がします。
人と作品とが出会う喜びの場に立ち会える幸せな仕事です。


ひろすけ童話3年生

浜田廣介 (著)


「おなかがいたいのすこしなの」(「よぶこどり」より)

ひろすけ童話は、「泣いた赤おに」「りゅうの目のなみだ」などで、有名ですね。中でも私のお気に入りは、「童話集・3年生」に掲載されている「よぶこどり」。
一匹のリスが鳥の卵を拾い、自分の子として一生懸命に雛を育てます。ある日、雛は物知りのモグラから「お前さんはリスの子じゃないんだよ」と言われ悩みます。雛は、元気のない自分を心配する母(リス)に言います。「あたまがいたいのすこしなの」「おなかが…」と。しかし、雛は飛び立って行くのです。さあ、残されたリスは…??というお話です。
こうしたお話は残酷ですが、その中に真実の美しさがあるからこそ、子どもは傷つきながらも自力で心を育てていくことができるのでしょう。大人になった今でも、私の心の奥底のベールを激しく揺らし、そのベールの向こう側に“無垢な私”がいることを感じさせてくれる本です。

 


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