私が書くためのモチベーション、それは「ECHOES」。
いま「アート」と「書く」という、
2つの「好き」を組み合わせた仕事をしています。
今日は「書く」についてだけ、書きます。
あれは中学3年生の、眠れなかった夏の夜。
たまたま聴いた深夜放送がきっかけで、
私は「文章を書いて生きていこう」と誓いました。
そのきっかけは「ECHOES」(エコーズ)というバンドの「歌詞」です。
当時の私は、とある病気で一ヶ月入院した後だったり、
行きたい高校を親に反対され(結局その高校に行くのですが)、
生意気だったり、わがままだったり、自立したかったり、
と青春の煩悶を繰り返していました。
歌詞を書くとJASRAC的にひっかかるので(笑)書きませんが、
私の心にかなり響きました。
当時の私の気持ちや行動を見透かされている気がして、
物語のような歌詞を、ラジオを聞きながら必死に書き取りました。
バンドブームだったけど、田舎すぎて情報がなかった、
いや、ECHOES自体がマイナーなバンドだったので、
なかなか雑誌も載らなくて、CDも手に入りにくかったのです。
高校に入って、私は一人の友人に毎日手紙を書いていました。
「私が文章書きになるための練習だ」
と言って、紙の表にはエッセイみたいなこと、裏にはECHOESの歌詞を書き連ねて、
その友人にせっせと渡してました。
そうしていると、私の通っていた中学校の近くにある短大の学園祭に、
ECHOESがやってきました。
「私のために来たんだ。書きなさいって、言ってるんだ」
しかもその来た日は、
ECHOESのボーカル・辻仁成がすばる文学賞を取った2日後くらいでした。
私はそんな歌詞を書く辻仁成に会うため、東京の大学を目指しました。
でも私が大学に入る前、ECHOESは解散し、辻仁成は芥川賞を取りました。
私はいつか辻仁成に会って、
「あなたがいたから、私は文章を書いているんだ」
と言いたい、と思いました。
しかし大学に入っても、卒業して社会人になっても、
「ああ、どうやったら文章を書いていけるのだろう
そしてどうやったら辻に会えるのだろう」
と思う日が続きました。
そしてくじけそうになったらECHOESの歌を口ずさみ、
つらくなったらECHOESの歌を歌っていました。
文章を書く、しかも好きなアートのことを書く、
ということを始めることができたのは、ふとした偶然からでした。
しかも現在もなお成り立っているのは、
こうした気持ちがバネとなっているからです。
去年夏、深夜ラジオを聞きながら仕事をしていると、
「作家の辻仁成さんが京都造形芸術大学の教授になりました」
というニュースが流れました。
な、なに!?
美術系の大学で、しかも文章を書くコースに、辻が。
私が辻仁成に会って、
「あなたがいたから、私は文章を書いているんだ」
と言う日も、そう遠くはないはずです。
CHOES YouTubeへのリンク+藤田千彩解説
「訪問者(visitor)」
→暗い歌詞ですが「私のこと?」と思ってた・・・
「JACK」
→聞き取りにくいですがとても物語な歌詞です・・・
ECHOES 歌詞を読みたい方へ
http://music.yahoo.co.jp/shop/p/12/7365
SONY MUSICのECHOESサイト
http://www.sonymusic.co.jp/Music/Arch/AI/Echoes/