topspecial[COLUMBIA RECORDS-air's box 2006/2007-]
COLUMBIA RECORDS-air's box 2006/2007
(左)私はここにいるそして宇宙はそこにある(奥)私は空を飛びたいとおもう(右)時が満ちる(手前)相対性双眼鏡

竹田尚史 Hisashi Takeda
1976年生まれ
愛知県出身

作品のコンセプト
すべての理には概念がある。それを相殺したり裏返したりした展覧会「おわりのおわり」では一見ただものが置いてあるだけのように展示するよう心がけた。ものの概念と概念をお互いぶつけあって相殺させる方法を使い作り物のような本来あるべき概念をつくりだす。双眼鏡と双眼鏡を相対させて1倍の風景を見る双眼鏡だったり、星の写真その星と星を一筆書きでつなげていく平面宇宙、四角を書き続けて円を描いたり、砂時計
の中を砂で満たし時間を止めた砂時計、決して虫を殺さない殺虫誘蛾灯、本来ものには意味なんて存在しないというのが私の基本的考えである。概念は作り物である訳だからつくり出す事もできる。

今後の展開
もっと概念を壊していく、今いる世界は実はおとぎ話のようなものである事をさらに浮き彫りにしていく。科学というフィクションがすきなのだが、いくつかあるプランをもとに科学をつくり出そうかなと思っている。

あなたにとって表現とはなんですか
この世界に意味をもたらす行為、何もしなければただの夢、そこでもがく事でわずかな実が感じられる。自我という概念を持った以上何かを発しなければ消えてしまう。表現とは自我の共有かもしれないと思う。



野田
特に印象的だった展覧会(のプロセス等々ふくめて)の事例はありますか?

竹田
そうですね、最初の頃の「lovers identity」という展示です。それはまだメンバーの個展が始まる前の期間に何かできない?と話し合っている中での事でした。メンバーの女の子がair's box をつくっているときにあまりにも(建物が)愛おしすぎてキスしたいぐらいだよねと話したのがきっかけで、それ表現になるんじゃないと一度考えてみるように提案したんです。

野田
僕がレビューを書かせてもらったあの作品は、そこに制作する動機があったのですね。

そうして壁にキスするという案を出してきて、そこから展示のパターンを話し合いそれぞれのパターンでどういう意味になるかを細かくつめていく作業をしていき、最終的にあのかたち(壁全体をキスマークで埋め尽くす)に収まりました。いろいろな選択肢の中から彼女たちに選択させてひとつひとつ積み重ねていった感じです。僕らの仕事はそれぞれのパターンがどういう意味を持ちどう見えるのかを客観的に分析する事で、それと彼女らの言いたい事が一致しているかをすりあわせていくことでした。一方的というよりは話し合いという感じですけど。意見をぶつけ合う事でひとりよがりなものが「表現」になってくるかなという感じだったんですけど、キスのパターンであるとか間隔であるとか色を一色にするのか何色も使うのかとか細かいとこまでディスカッションしながら彼女たちは選択したわけですが、客観視点が入っている分その選択は筋が通っていたと思います。面白かったのは彼女らはアートをつくろうとしていたのではないので、やろうとする事に濁りを感じなかった事です。少し間違えるとすごく嫌みのこもった作品になってしまうのに、うまくまとまったなと思いました。それは作品をつくろうというのではなくて、どうやってこの想いを表現していこうかという事だけを考えて制作したがゆえかもしれないですね。なかなかこうはできないよなと思います。
一人一人のアイデンティティは新鮮でしたので新しい発見が多く、アートという視点からだけでなく等身大の人間像のようなものがそこにあったと感じます。



「lovers identity」の展示風景。壁一面がキスマークによって赤く染められている。


 12345678index

topnewsreviewscolumnspeoplespecialarchivewhat's PEELERwritersnewslettermail

Copyright (C) PEELER. All Rights Reserved.