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タムラサトルインタビュー
タムラサトルさん

“ちっちゃくて動かないもの”への挑戦

横永
そうそう。そういやさ、昨年末に宇都宮のGALLERY IN THE BLUEでの個展「Weight Sculptures Returns」で出てた「Weight Sculptures」のシリーズでもさ、重さを表現していながら、何とも軽さっていうか軽妙さを感じたんだよね。
あのシリーズっていうのは、どうやって出てきたの?


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1)「6kg Hawk」(2001)
2)「1kg Dog」(2003)
3)「30g Toy」(2004)
4)「2kg Toys」(2004)
5)「100kg Man」(2004)
タムラ
おっきくて動くものっていうのはさ、作品を作るのは簡単なの。おっきくて動くとみんなびっくりするから。で、自分のコンセプトの中でちっちゃくて動かないもので作品を作れないかなーって思って。これは、流通っていうのも少しは考えてたんだけどね。

横永
そっかー。あの動くやつじゃ売るのは難しいもんねー。


タムラ
最初に作ったのは、「6kg Hawk」なんだけど、この鋳物のタカは、うちの近所の古道具屋で1,000円くらいで買ってきたの。で、これを何かで使おうってのは決めてたんだけど、たまたまうちにあったばねばかりに引っ掛けてみたら、6,500何グラム。それ見たときに、「…重さかー!」ってひらめいて、「6kg」っていう物理現象そのものを見せていこうって決めて、そのときにもうタイトルも決まっちゃったの。「6kg Hawk」って。
で、マジックで穴を羽に書いていって穴の位置決めて。で、穴を開けていったら、もう作品になっちゃった。そして、ばねばかりに引っ掛けて。で、タイトルは「6kg Hawk」、完璧!!(と親指を立てる)ってね(笑)。

横永
あははは(笑)。


タムラ
で、その後には、逆に分銅で重さを増やすのとか、ガンプラとかキン消しで作品を作ってって、最後にオチとして「100kg MAN」を作ったの。

横永
へぇ〜。そっか、栃木県立美術館の「ピクチャー・イン・モーション」で上映されてた「100kg MAN」はそういう成り立ちなんだねー。あそこでは、あれだけの展示でしかも大画面だったからさ、まずあの迫力に圧倒されちゃったけどね。
まあ、GALLERY IN THE BLUEじゃ、他の作品とかと一緒に並んでたから、そういう感じだよねー。


タムラ
そう。この「Weight Sculptures」シリーズは、これ1個2個だけだと、やっぱりインパクトが弱いからさー、全部セットで一つのインスタレーションという気持ちでいるのね。その中に、いろんな動物とかと並んで本人も陳列されてますという感じ。

横永
あの展示って、なんかお店の陳列みたいなんだけどさ、並んでるモノがシュールで笑えるよね…。タムラくんの他の作品とは形態は違うけど、「何だ、コレ?」て唖然とさせちゃうとこなんかは共通したものがあると思うよ。
でさ、この「Weight Sculptures」シリーズについては、今後の展開とかってのは考えてるの?


タムラ
ただ、これについては、もう一気にたくさん(40数点)作品を作っていっちゃって、もうやり尽くしちゃったかなーっていうか、すっかり方法論も確立されてしまって、「Weight Sculptures」に関しては。作品を“創る”というより“こなす”ようになってしまって。
ただ、実際このシリーズは何個か売れたし、狙いとしてはそれなりに成功したのかなーと思ってるんだけどね。

横永
そっか…。そういえばこのシリーズって、さっきも話に出たガンプラとかキン消しとかさ、オレらの世代には何か懐かしいモチーフを使ってるけどさ、あれを使おうっていうのは自然に出てきたの?


タムラ
キン消しは、単純に“持ってたから”なんだけどね。子供の頃のコレクション。
ハイグレードのガンプラは、ハメプラで部品の取り外しで重さを調節しやすいし。
あと、海外とか、同年代の人が食いついてくるかなーっていういやらしい思惑なんかもちょっとありました。はい。

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