toppeople[タムラサトルインタビュー/栃木]
タムラサトルインタビュー

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1)「Standing bears go back」(1998)
2,3)「バタバタ音をたてる2枚の布」(2000)

ワニから熊、そして身近なものへ

横永
で、その後、タムラくんはいろんなバリエーションの作品に挑戦していくわけね。


 
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1)「背中のないクマは後退する」(1998)
写真/高田洋三
2)「Standing bears go back」(1998)
タムラ
そうそう。要は、その“もの”を意味的にも物理的にも台無しにしちゃって、それを作品として構成すればいいだけだから、何でもできちゃうんだよね。
ただ、次に熊の作品(「背中のないクマは後退する」「Standing bears go back」)で、また動物を作っちゃったんだよね。で、これもそれなりにまたインパクトがあって、作品としてこの単体を見れば成功してるんだけど、流れとしてはちょっと誤ってしまってね。ホントは、動物じゃない作品を間に1個かませればよかったんだけど、「あの人はこう動物が動くのがやりたいんだ」って思われはじめて…。

横永
そうかー。あの動物の作品なんかは、ワニなり熊なりっていうのが本来するであろう動きっていうのが見る人の頭の中にあらかじめイメージとしてあって、それと全然かけ離れた動きをするっていう面白さがあるなって思うけどね。


タムラ
そう。もともとのイメージを破壊しやすいっていうか、親しみが持てるモチーフがありえない速い動きをして、しかもそれが爆発的に速いとか、音を伴うとか、風を伴うとか、まあそういうのがあったんだけど、ただちょっとイメージとして動物が強すぎるっていうか、逆に言うと狙い過ぎっていうか…。

横永
そういうのもあるかもしんないね。
で、その後は動物じゃない作品を作り始めるわけね?


タムラ
流れでいうと、動物と同時進行ぐらいで旗のやつ(「バタバタ音をたてる2枚の布」)があって、で、その後に、木の円盤のやつ(「縦方向に回転する木の円盤」)がきて…。

「縦方向に回転する木の円盤その1」(2000)
写真/高田洋三
横永
木の円盤のっていうのは、ちっちゃいのが饗茶庵にもあるよね。


タムラ
あれは、思いっきり回るんだったら回るだけのものを作ろうと思って、これはそういう動きそのもののものを作ってみようと思って作ったんだけど、これぐらいでもそぎ落としちゃうと、なんとなくオレもノれないところもあるんだよね。「もうちょっと何かさ…、何かやろうよー」みたいなのもあったんだけど、まあ、中にはこういうのの方がスマートで面白いっていう人もいるのはいるんだよね。

横永
そうだね。何かこれはスマートっていうか、キレイな感じがするよね。


タムラ
これも実際、機械としての凄みはあるんだけどね。何も仕事をしない機械なんだけど、ゴロンゴロンって動いてて、それなりにオレの中では納得してるんだけど、ただ、ちょっとこう、食い足りないところがあってね。

横永
ただまあ、こうして今までの作品を見ていくと、いろんなものをネタにしてるよね…。特に最近のを見てると、身の回りのなものをネタにしてるけど、これは意識して使ってるの?

タムラ
意識してっていうか何か、うん、意識してだね。やっぱ身の回りにあるとさ、よく観察してるんだよね。で、観察してたら、「…これ、使えるな…」とかふと思うんだよね。

横永
身の回りにあって、もうだいたい見る人もそのモノ自体はわかって、本来はこういう意味を持つものだっていうのが前提としてあるっていう…。

タムラ
そうそうそう。というところで、見せ方とか作り方で、そこにちょっと疑問を生じさせるっていうか。

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つきあいでの美術部入部からアーティストへ
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“ちっちゃくて動かないもの”への挑戦
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