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山本一弥インタビュー
 
   
  《蛇の目》H8×W100×D136 / 2008年 / 撮影:柳場大

立石
FRPでもつくるんですね。《蛇の目》、少し感じが違いますね。

山本
去年きっかけがあって。FRPで作る前提の仕事をしたんです。というのは、座ってもいい彫刻を作って欲しいという依頼があって。そのときに今までだったら木をチェーンソーで削ったりして作っていたものを、発泡スチロールを削って作ったりしたんだけど、そのときある程度「いけるな」というのがあって。それで今も使ってみています。あとは木で僕のやり方だとツヤが出せないんですよ。ツヤを出すことは可能なのだけど、まあ3時間後には全部木目がびっしり出てしまうので。木目というよりはベニヤの継ぎ目なんですけど、そうなったとき、作品の「アラ」でしかないというか。


立石
そこが「味」ではなく?

山本
まあそこが「味」になる場合もあるんですけど。
でもとにかく、表面はびっしりと出てしまって、ツヤがあると余計目立ってしまうんですよ。だからそこをプラスチックにすることでできるようになる。
 
立石
じゃあ今は木を使ってないんですか?

山本
そうですね。けど、やめたわけじゃなくて。使いたいと思えば使うし。今は、という感じですね。

記号的彫刻のこれから


立石
これからしばらくはどんな感じで進めていく予定ですか?


しばらくはこんな感じですかね。木から変えた理由は今までの中にいくつか話したと思うんですけど、あとはもう少し作品とシンプルなやり取りをしたいというも一つの要素です。
というのも木は電動工具を使ったり専門的な道具を使ったり、機械を介する作業がとても多いんですよ。僕はそういった作業が嫌いなわけではなくて、どちらかというと好きなんだけど、特に形を作るとき、機械的な作業を抜くことによって「絵を描く」という感じに近づくような気がするんです。特に水粘土とか、ヤスリで削るとか。ヤスリの力加減で作品の表情がかわるんですよ。そんなふうに、作品として変化が訪れるんじゃないかと期待する部分があって。だからこれはもう少し続けてみようかと思います。
でも作業が少ないとその分、何か要素を取り入れないといけなくなる。例えば作品が大きいとそれだけ作品の価値というか作品的要素が増えるんだけど、そういうものも抑えていくことによって、つまり大きさなども普通にしていくことで、違う作品的要素を取り入れないと成立しないんですよね。自分の中ではそういう部分にも期待をしています。


立石
他の作品的要素をどう作っていくかということ?

山本
そうですね。作品を制作する中で意識をたててコンセプチュアルにやっているわけじゃないから。その中で何か生まれてくるんじゃないかなという。
まだそんなに大きいものとしては展開をしていないので、もう少し大きめのもので展開してみようかなと思ったりしていますね。


立石
これまでの作品は相当大きかったですしね。特に《子鹿物語》とか。

山本
まあ、《子鹿物語》まで大きくすることはないと思うんだけど、例えば何点か集まって1点というのでもいいと思うし、展開の仕方は結構あるかなと。逆に今までやってきたことの中ではなかったことができるかなと。


立石
よく「これって何を意味しているんですか」って聞かれませんか?

山本
逃げます。(笑)


立石
そこは、ない?それとも教えない?

山本
はぐらかします。(笑) 別にないというわけではないんだけど説明できないだけだから。一応説明しようとはするんだけど、結果的には全然伝わってはいないと思う。


立石
伝わっていなくても……

山本
まあいいかなと。うまく話で説明できるなら作品をつくる必要もないと思うし。それに、話を聞いているうちになんとなくわかったようなつもりになるから。わかんないけど。(笑)


立石
うーん、こちら側としてはじれったい!けれどやみつきになってしまうのでしょうね。その核心に迫りたくても迫り切れてないんだろうなという部分……。
これからの作品もどのように表れてくるのか、とても楽しみです。今回はありがとうございました。
 
 
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