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山江真友美インタビュー


一人の少女を描く


丹原
少女を描くにあたって描き方などで追求したところはどんなところですか?

山江
そうですね、抽象的な女性の体を描いているときからずっと、肌の質感を表現したいっていうのはあって。
色んな画材を使ったりもしましたし、色んな描き方を試しました。
最初は帆布に目止めをしてそのままにじませるようにして描いてたりして、ずっと肌の質感ていうのはこだわって描いてますね。


丹原
色々試されて、現在の形にたどり着いたんですね。

山江
そうですね、でもまだまだです。
まだまだもっとエロチックにしていきます。



《孟夏に記す》227×158mm、油彩、2007年


丹原
大学ではじめて描いた油絵が空想の女性だと言われてましたが、いちじくや花で描かれる女性も空想の中の女性なんですか?
それとも実在する方をモデルにされてるとか?

山江
いえ、実在しないです。
同じようには見えるんですけど、作品ごとに違う子なんです。
この作品はこの子っていう扱いなんですよね、私の中で。
その子ごとにイメージがあって、それを表現するための大事なポイントが浮かんでくるんです。
それをドローイングして。
あとドローイングと一緒に、横に文字を走り書きしていくんです。


丹原
この子はこんな子っていう感じで?

山江
そんなに具体的な自己紹介のようなものではないです。
そこまではっきりとそこにいるわけではなくて、すごくぼやーっとしているので。
この子は気が強くて〜とか、そんなのではないんです。
なので文字はもっと散文的な感じで。
そうして最終的にドローイングはちゃんとした絵に、形になって、散文もちゃんとしたタイトルなります。


丹原
その存在がぼやーっとされてるとのことですが、描かれる少女に、時代というものは関わってくるのでしょうか?
この時代ぐらいの少女を描いてるとか。

山江
すべての人の過去の記憶に語りかけるような感覚で描いているので、この時代っていうのはないです。
私の子供の頃って平成に入ってすぐぐらいになるんですけど、例えば50歳60歳の方の子供の頃はもっとずっと前なんですよね。
もっと若い、いま大学1年生の方の子供の頃もまた、私からだいぶ離れている。
でもなぜか共通して懐かしいと思える表現が多分あるんですよ。


丹原
例えば?

山江
例えば、古い歌ってそんな記憶ないのになぜか懐かしく感じませんか?
あの頃を思い出すっていうのじゃなくて、実際に自分にはそんな経験ないのに、なぜか懐かしいような気がする。
あの歌、「スス〜キの中の〜」って歌、あ、知らないか(笑)
別にススキの中で遊んだ記憶なんて自分の中にはないのに、夕暮れになると子供を背負ってお母さんのもとに帰ってとか、そんな記憶ないのに、なぜかみんな共通して懐かしい記憶に感じるんですよね。
そんな風に私の作品も、みんなの懐かしい部分に触れられるような情景にしたいなと思って描いてます。


丹原
確かに、その背景は違っても、幼い頃の甘酸っぱさや、ほろ苦さとか、そういうなんともいえない気持ちなんかは時代問わず共通しているかもしれませんね。

山江
時代に関係なく、みんな子供の頃ってぼやーっとした霧の中にいるような感じなんですよ。
そのイメージですね、共通のノスタルジックのような。

 
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