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神戸智行インタビュー

佐藤美術館「神戸智行展 イノセント・ワールド」展示風景

神戸さんが考えていること


藤田
私はつくる側ではなく見る側なので、神戸さんってそうやってつくってるんだ、考えているんだ、と初めて知りました。
今回の個展の会場を何度か来たとき、お客さんが絵に接近して見てたんですね。
それで「わぁ、きれい」とつぶやいている人が結構いたんです。
つくる側である神戸さんは、こういうふうに見てもらいたい、とかありますか。

神戸
僕自身の大きなテーマもあるし、個々の作品で表したいこともあります。
ただ作品は、展示した瞬間にひとり歩きしていくものなので、見る人にとって様変わりしていくものだとも思っています。
僕自身は作品の「タイトル」を「作品の入口のようなもの」と考え、その思いを込めています。

藤田
今回展示されている《幸福ノカタチ》は、クローバーがたくさん散りばめられていますよね。
タイトルからして、4つ葉があるんじゃないか、と探すために画面にくっついて見てしまいました。
そのとき、手仕事、機械じゃないし、パソコンでコピー&ペーストしているわけでもない、手でひとつひとつ違うように描いたり、たくさん描くこともすごいなあ、って思ったんです。

神戸
描くという行為は、一筆一筆、自分ができることなんですね。
けっして筆達者ではないと思っているので、長い目で見てくださいね(笑)。

藤田
いまのアートシーンって、「売る」作家さんと、「トリエンナーレ」みたいな作家さんと分かれているように、私には感じます。
その動きに乗らないとダメ、みたいな風潮って気持ち悪くてしかたないんです。
神戸さんにとって、絵って、美術ってなんでしょうね。

神戸
僕は本当に絵を描くことが好きなんです。
実家に帰って、母が出してきた幼稚園の文集に「将来の夢:絵描きさん」って書いてあったので、変わってないって気付かされたこともあります。
現代の日本のアートシーンと海外のアートシーンには溝や壁、差があると思うんです。
他の作家さんや世の中が、どのように考えて動いているか、どう表現するか、は気になることです。
この日本で生まれ育った自分が、今この様変わりする時代や社会と向き合って、自分の思いを表現していければと思っています。

藤田
海外と日本、どっちが優位とかそういうのはないと思いたいですし、人生長いので神戸さんはまた海外へ、ということもあるかもしれませんよね。
これからも楽しみです、今日はありがとうございました。

 
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