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平田さちインタビュー
 
《narkissos》2007年 アクリル絵具

地方だから?地方だから。

藤田
今度神戸アートビレッジセンターの展覧会「1floor 2009」に出しますよね。

平田
この展覧会は公募で、私の中にやってみたいプランがあり、神戸アートビレッジセンターのスペースなら実現できるなと思い、応募しました。

藤田
ふふふ、なるほど。
神戸での展示はどういった作品を出すのですか?

平田
コミュニティースペースでカッティングシートをコラージュしたインスタレーションを予定しています。

藤田
それはこれまでの作品と同じような感じですか?

平田
そうですね、これまではレンガの粉を使用して模様を描いたり、絵の具のチップやカッティングシートをランダムに配置したり、小さな手作業の繰り返しによって展示空間を変化させてきました。
今回も同じ、その場に応じた一度限りの作品を作っていきます。


藤田
平田さんにとって制作って、どういう位置だったり、意味があるんですか?

平田
作品に向き合う時間は私の生活の中でとても魅力的で楽しい時間なんですが、作品を作ることが自分の生活の一部になっている、ということを考えたことがなかったのが正直なところです。

藤田
でも「つくって」ますよね。
平田さんは、展覧会があって作品をつくるのですか、普段から作品をつくっているのですか?
いじわるな質問ですけど。

平田
両方あります。
展覧会の場所が決まってから作品を決めることもありますし、展覧会に出す時も、搬入中や会場で作品をつくることも多いんです。
突然、急にやってみたくなって家の壁に作品を設置してみることもあります。
普段から小さいものをコツコツつくってみたり、ドローイングを書いてみたり、いろいろですね。

  《なごやの生活》2008年 紙

 
  《なごやの生活》2008年 紙

藤田
神戸のプレスリリースを、東京で私の周りに見せたら、みんな「平田さんの作品を見てみたい」って言うんですね。
東京で発表したらいいんじゃない?なんていうのは簡単ですし、東京こそナンバーワンみたいな風潮ってまだあると思うんですけど、平田さんは東京にはあこがれないんですか?

平田
うーん、それは別に、ですね。

藤田
えー、なんで?

平田
今まで地方にしか住んだことがないので実感したことがないのです。

藤田
だとすると、平田さんをスゴイと思うんですよ。
同時代という根底の部分かもしれないし、本気の天才なのかもしれないけど、すごいやってることがハイセンスだと思うんです。

平田
そんな、そんな、おだてられても何も出ませんよ。

藤田
おだててるつもりはなくて、高知の山奥から京都にやってきて、卒業して働きながらものをつくる、そして出てきたものが「ハッ」とさせられるものだなんて。

平田
「ハッ」って(笑)。

藤田
いまだに平面作家だと「ナラムラカミみたい」な人ってすごい多い、とか、コンペなりギャラリーで見る作品って、既視感ばりばりで、「ハッ」としない。
平田さんの作品は既視感があるような気がするけど、それを差し置いて「ハッ」とさせられるんです。
色彩のセンスとか、インスタレーションの配置のあんばいとか、デザインとかデザイナーに近い気もするんです。

平田
デザインされたものは好きです。
ジャンルに限らず、より良くされている物や事を見ると、感心します。
工夫とかされていると単純にすごいなと思います。

藤田
平田さんの作品って、そういうことがなされていると思うんですよ。

平田
自覚したことないですね。

藤田
作家が自覚してたり、計算づくだったりとか、意識的につくってないから、作品がいいんでしょうね。
私自身の意見ですけど、アートって新鮮な感性を持つ作家が作品をつくるものであってほしいし、その作品によっていろいろな人に「気づき」を与えるものだと思うんです。
今日はありがとうございました。
 
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