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平田さちインタビュー
《プレゼントならたくさんの色を使おう!プレゼントならサプライズで!そしてでっかいほうが気持ちいい!!》2009年 カッティングシート


作り手と観客が共有したいこと

藤田
私は、平田さんの作品を先日の「名港ミュージアムタウン」で拝見しました。
土手の壁にインスタレーションしていましたよね。
そのインスタレーションをつくる過程をビデオに撮り、早回しで見せていた。
インスタレーションを見せたいの?ビデオを見せたいの?ということもあるし、インスタレーション全体で見たほうがいいの?近づいて一部で見たらいいの?と疑問に思ったのです。

平田
普段は、制作過程を映像で流したりすることはないですね。
初めてやってみました。

  《fine tuning》2003 カラークレイ

 
  《fanta》2002 刺繍糸

 
  《fanta》2002 刺繍糸


藤田
インスタレーションって、結果物を見せるものでしょう?
つくる過程を見せるって、平田さんがどういう思いでつくってるんだろう、って実は思ったんですよ。

平田
「名港ミュージアムタウン」では、一日だけインスタレーション作品の展示を考えていたんです。
防風壁での展示のみの予定だったんですね。
でも、いろいろな人からのアドバイスをもらったり、理容室のおじさんとのやりとりもあり、映像とドローイング展示もさせてもらいました。

藤田
地域系イベントならでは、という地元の方との交流ですね(笑)。
そういう交流とか意識を通わせることって、これまで他にもあったのですか?

平田
今までは作品を作って行く過程をみてもらったり、作品に過程が見えたりすることは、極端にさけて制作をしてました。

藤田
何でですか?

平田
これは私の性格だと思います。
「出来上がったものが全てだ」という考えもあります。
ただ、この「名港ミュージアムタウン」での作品タイトルが《プレゼントならたくさんの色を使おう!プレゼントならサプライズで!そしてでっかいほうが気持ちいい!!》なので、求められていることには答えよう、そしてやってみたことがないことは経験してみようと思って、展示を行いました。

藤田
すごいタイトル!
そういう「プレゼント」なり「サプライズ」なり、なんでもいいんですけど、お題を与えられて制作することって、作家にとって息苦しいことなのかと思いました。

平田
私にとって作品を一つ作ることは、労力的にも時間的にも大変なことです。
でも、出来上がって後ろに下がって眺める感じは「心地よい」と感じます。
見に来た人、また、たまたま通りかかった人が、私の作った作品と同じ高さ(空間)にいる感じや、それを眺めている私もそこにいる。
だけど、一度しか見れないことや一度しか経験できないことを自分自身が見てみたい感じてみたいという思いがあります。
特にこの《プレゼントならたくさんの色を使おう!プレゼントならサプライズで!そしてでっかいほうが気持ちいい!!》という作品が、広場的な装置になっていく、そんな感じは、とても気にいってます。

藤田
インスタレーションって、つくることも大変だし、見る人と理解を共有するのも大変じゃないですか?

平田
空間への私自身の意識はすごく大切にしていたけど、作品をつくってしまった後のことはあまり興味をもてなかったので、今までは他人と空間を共有したいという意識はありませんでした。
ただ、つくり続けていく中で少しずつ変化してきたというか・・・、作品が自分の予想をこえた所で、広がっていく感覚を感じることが多くなったんです。
そして、私のインスタレーションを体験して、鑑賞者の記憶に止めてもらうことに、私自身興味がでてきたんです。


藤田
記憶と言えば、私はその作品の色数、多色がインパクト大でした。
きれいな絵画に使われているような色を、3次元として、インスタレーションする作家って、案外はじめて見たかも。

平田
生活の中でも「色」を意識することって、たくさんありますよね。
気持ちが上がる配色の服をきたり、野菜をゆでたらきれいな色でゆだったとか、洋服を選んだり日常の食事でもなんですが、単純にテンションがあがるんです。
その延長線で、制作する時も使用する色を選んでいると思います。

藤田
分かるーー!!
平田さんの作品を見たとき、例えば「カラフル」という形容をすることもできるのだけど、むしろ「この配色で気分がちょっとハッピー」みたいなキモチになったんですよね。

平田
作品を作りはじめた頃は、自分がどの色、何を選ぶか、ということ全てに「意味」を問われるのでは、と思い込んで制作していた時期もありました。
でも、今はどうでもよくなってしまいました。
だから「赤と黄色を使っているから注意してください!」みたいなことは、全くないですよ(笑)。

 
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