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原井輝明インタビュー


「原井輝明展−光のかけら」展示風景 1994年1月14日(金)〜24日(月)東京芸術大学芸術資料館/陳列館(東京都台東区上野公園)撮影:早川宏一

絵画に対するリアリティ



「原井輝明展-光の記憶」展示風景1994年2月7日(月)〜26日(土)横浜ビジネスパーク/横浜ガレリア ベリーニの丘ギャラリー(神奈川県横浜市保土ヶ谷区神戸町134)撮影:早川宏一


《棘2》183.2×230.4cm Oil on canvas 2000 撮影:早川宏一


《棘2》部分 Oil on canvas 2000 撮影:早川宏一
藤田
小島びじゅつ室「竈神 Hestia展」で他のお客さんの話を聞いていると、原井さんの《光のかけら》という作品に対して、強い印象を持っている人たちが多いですよね。

原井
《光のかけら》は、大学院の博士課程を終える展示で発表した作品です。
そのとき、大学院のほうは1月で、2月に別の展覧会が控えていたんです。
かたや学内展示、他の人たちが嫌がるショーケースで見せようとして、かたや横浜という学外展示、柱が目立つ空間だったので、壁に大きな平面を1点ずつ並べる構想がありました。
両方を見てもらえると分かるような展示でしたね。


藤田
描いたキャンバスというか支持体というかを小さく切って、《光のかけら》と名付けられたのですね。
ショーケースに入っていて、インスタレーションみたいです。

原井
この《光のかけら》をは、見た人が持って帰れるようにしてあるんです。


藤田
この《棘》という作品、これ絵画ですか?写真ではよく分からないのだけれど。

原井
これはモノクロームの、山口に帰ってから制作した作品です。
家族のことで帰ったんですけど、気持ちが暗くなってしまってたんですね・・・。
誰しもそのような気持ちは起きることがあるのでしょうけどね。

藤田
あるんでしょうね。

原井
《棘》のシリーズは、絵を描けなくなったというか、絵具をぶちまけただけのような作品をつくっていた時期でした。
描いていても、リアリティを感じなくなったこともありました。

藤田
何に対してのリアリティですか?

原井
視覚的なものですね。
目が見えない人のことを想像したとき、空にある月、月のことを知識として存在することは理解できるけれど、実感することはできないですよね。
そんなことを考えていたら、「見る」ということだけのリアリティが欠けてしまい、作品を描けなくなりました。
だからこの作品のように、表面がザラザラしていたら、見ただけで触ったような感覚にもなるような絵画にリアリティを感じたんですね。
一時的に描けなくなったこともあったし、インスタレーションなど形態の違う作品を制作してみたり、それでもまた絵画を描くといったように、気持ちに変化も出て来て、環境が変わっていくと、絵も変わって行きたいと思うようになったんですよね。
絵の明暗と気持ちの明暗は同じではないですが、前とは違うということを表現したいとは考えています。


藤田
絵画にこだわる理由って何でしょうか。

原井
小さいころから絵が好きで、他のことにも手を出してみたけれど、絵に戻ってしまう。
それだけです、油絵は肌にあっているし、特別な理由はないですね。
どこから創作意欲が出て来るか分からないのですが、僕はある切迫感、緊張感がないと作品が完成しないんです。


藤田
どういう意味ですか?

原井
たとえば「この作品いいんだけど、半分くらいのサイズで欲しい」と言われたとします。
そのときは「そういうのが売れるんだ、いいですよ」と答えるのですが、結局、仕上がったことがないんです。
つくろうという気も起きないんです、いつでもいいという〆切がないせいかもしれません。


藤田
ゆがんでますね(笑)。

原井
えっ(笑)!
頼まれたときは応えようと思うのですが、手が動かない。
後から「断ればよかった」って、自己嫌悪に陥るんです。

 
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