『木型の家 SUPERO House(犬用住宅)』
藤浩志 × 岡野バルブ製造(株)・(有)井上木型製作所 |
|
小倉伊勢丹
伊勢丹の玄関でお客を迎える真っ黒な工業製品と野生の犬。エルメス、ヴィトンに身を包む婦人たちが不気味そうに見入っている。その異質、違和が小気味よい。技術者や職人たちの頭脳と技巧で作られたバルブの原型(「木枠」)は、つややかで、強く誇らしげである。内側を覗くと、激しい水流を感じる。ヤセ犬たちは、自然にあるがままの廃材で作られ、後ろ足で繋がれている(盗難防止と思われるが)。彼らは小屋を与えられても、決して飼い犬にならない。ヤセ犬は、野生の犬のままである。商人が扱う商品・お金や客の流れ、職人が作り出した大工場の水やパイプの流れ、そして、美術家が提示した野性の血の流れ、ここには人による3つの流れがあった。
|