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[青葉縁日2 おもしろ改造工場の夏祭り/宮城]
青葉縁日2 おもしろ改造工場の夏祭り
梅田哲也と堀尾寛太「落と」
梅田哲也
WEB
堀尾寛太
WEB
梅田哲也と堀尾寛太「落と」
大変失礼だが、この作品は一見、意味不明のガラクタである。
改造された扇風機や小さいヤカン、湯のみ茶碗、引き出しのなかで固まってフニャフニャと動き続ける金属球。他にも得体の知れない日用品が吊るされたり、床に配置されており、それらが相互に作用し合って音を立てている。
ときたま、天井のパイプから金属級が落下し、下に置かれた引き出しでバウンドして会場へコロコロ(会場の係の人が見つけて拾い、引き出しに入れていた)。さらにときたま、吊るされてフラフラしている木の切れっ端が湯のみ茶碗にぶつかって「キンッ」とショボい音をたてる。
夏の暑さがどうでもよくなるような超脱力系作品。シュールな笑いを誘う。
ちなみに会場内には梅田哲也の「音楽の始まりと終わり」も展示されている。こちらもフワフワとした脱力系。
村上タカシ&がんがんモリィ「ぽんぽん」
村上タカシ
WEB
村上タカシ&がんがんモリィ「ぽんぽん」
宮城教育大学准教授の村上タカシと、同大学の大学院生のグループ「がんがんモリィ」は昨年の「青葉縁日」に続いての参加。
「ぽんぽん」は3つのスペースで構成されている。鮮やかな色のトランポリンやヨガボールで自由に遊べる第1の空間、壁にハンコ(名前の印鑑)を自由に押して遊べる第2の空間、そしてスタンプを使って願いを込めた絵馬を作る第3の空間。
トランポリンは70kgの体重制限があるので、ちょっと大きな大人の方は楽しめないが、各スペースとも大人も子供も楽しめる構成となっている。ちなみにトランポリン近くの壁面の展示は増子博子と今井綾子のコラボ。
ちなみに村上氏は展覧会期間中のみ使用可能なプロジェクトマネーのプロデュースも行っている。
hokusui(北野央、杤尾直也、小野寺望、唐鎌新)「slash」
作家
WEB
hokusui(北野央、杤尾直也、小野寺望、唐鎌新)「slash」
東北大学工学部建築空間学研究室の北野央が中心となって結成しているhokusuiの作品「slash」は、蛍光色の糸が張り巡らされた空間と、さまざまな大きさの空きビンが置かれた空間で構成されている。
最初は2つの空間の関連性が全くわからないが、糸を引っ張ると、隣りの空間に垂らされた糸のもう片方が持ち上がり、糸の先端につけられたボールがビンに当たって「カラン」「コロン」と涼しげな音を奏でる。糸は数十本張られているが、なかには引っ張っても鳴らない「はずれ」も。ある種のくじ引き=縁日のイメージ?
素朴な仕掛けの作品でタネはすぐわかるのだが、それでも音が出る糸を発見すると、これが意外と嬉しい。糸の中を体をくねらせて進んでいく感覚も新鮮。空間に対する意識が強かったのは、建築畑の人間の作品ならではだろう。
会場構成や照明に関しては東北工業大学槻橋研究室+渡邉武海が手がけ、非常にユニークなものになっているが、そちらは建築家の曽根健一朗さんの
レビュー
を参照していただきたい。
前年は学生のグループなどの参加が多かったが、今回は各地で作家活動を旺盛に行っているアーティストを多めに組んだので、前年よりも展覧会然とした雰囲気があるように感じられた。また、去年はKOSUGE1-16の巨大なサッカーゲームが目玉で、にぎやかな参加を重視した展示だったこともあり、みんなでワイワイのお祭り的な雰囲気が強かったが、今回は現代美術の展覧会としての色が濃いように感じられた。どちらが良い悪いという問題ではなく、それぞれの色が出ていたというべきだろう。前年のお祭り的な雰囲気を継続すること無く、がらりと雰囲気を変えたことで見えてきたものが、来年以降の「青葉縁日」で生かされていくのが楽しみである。
ただいくつか気になった点もある。前年は地元の図工美術の教諭などで結成されているグループ「トコトン実行委員会」が関わっていたことで、小学校との恊働や、学校での告知などがスムーズに行われていたが、今回は特にクレジットがなかったことが少し気になった。子供向けであることを一つのコンセプトとした展覧会としては、「トコトン実行委員会」に限らず教育機関や関連団体との恊働を行うことで、期間中のワークショップにもまた違った展開があったかもしれない。
また、細かいことかもしれないが、それぞれの作品の遊び方の表示が足らないと感じた。現状では監視員に作品の遊び方を教わらないといけないのだが、監視員が近くにいない場合もある。参加を目的とした展覧会としては不親切な感が否めない。説明パネルなどが展示空間にそぐわない場合もあるとは思うが、そのような気配りがあっても良い。
前年からの継続事業ということで、それとの比較に終始してしまい、2006年の「青葉縁日」を見ていない方にはわからない部分の多い展覧会レビューになってしまったが、展覧会自体としては作品数が少なめながらも、バラエティーに富んだ作家陣で飽きさせない構成であった。開催前に参加作家の名前を見て、子供向け展覧会としてはやや辛口な部分もあるのではないかと思ったが、それは杞憂に過ぎず、子供たちは自分自身の楽しみ方を発見していたようだ。メディアテークの夏の恒例として、来年以降も続いて欲しい展覧会である。
*このレビューの写真:大泉愛子
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