青葉縁日2 おもしろ改造工場の夏祭り
TEXT 渡邉曜平
去年に引き続き、せんだいメディアテークで開催された「青葉縁日2」。今年のサブタイトルは「おもしろ改造工場の夏祭り」。「ベンディング」(「身の回りの道具や機械を改造して新しい機能をつくりだしてしまうこと」展覧会パンフレットより)をテーマとして開催されている。今回の出品作品は3つのキーワード、「縁日」「面白改造工場の夏祭り」「ベンディング」を、それぞれの形で解釈して作成、あるいは選定されているが、今年も前年に引き続き、地元から参加するアーティスト(グループ)、国内外で活躍するアーティストが混在している。
以下にまず、それぞれの展示について箇条書きでレビューを行う。
タノタイガ「タノニマス」
まず、展覧会場に入ると、膨大な量のベージュのお面が天井まで整然と展示されている光景に驚かされる。タノタイガの作品「タノニマス」。お面は作家自身の顔を型取りしたものである。
会期中、来場者はお面を思い思いにデコレーションすることができ、会期が進むにつれて、壁面は思い思いの装飾が施されたお面で埋まっていく。控えめな装飾のものから、もはや原型をとどめていないもの、爆笑ものから唸らされるものまで様々。
一見するとユーモアに富んだ作品であるが、「アノニマス(匿名)」にひっかけて「タノニマス」という題名をつけた意味を考えると、現代の画一化社会に対しての批判の視点を読み取ることもでき、解釈は一筋縄では済まないが、そのコンセプトは鑑賞者からわざと見えづらくしてあるように思われる。作品を純粋に楽しむうえでは、お面をデコレーションする、またはデコレーションされたお面の創意工夫を楽しむだけで十分だろう。
エキソニモ「Object B vs」
シューティングゲームの画面が投影されたスクリーンの前に、ハシゴやアルミ缶といったホームセンターで目にする物体やマウス、キーボードなどが組み合わされた奇妙なオブジェが置かれている。ときたま急に動き出し、金属系のけたたましい音を会場に響かせる。
その裏には別のスクリーンがあり、反対側にはキーボードとマウス。鑑賞者はこの2つを使ってゲーム内のキャラクターをあやつって、フィールド上にいるもう一人のキャラクターと銃で戦う。そのもう一人のキャラクターは、さまざまな工具が組み合わされた奇妙なオブジェが操作している。オブジェが動くとキーボードやマウスが反応してキャラが動く仕掛けだ。銃からは弾ではなく、ベンチやドラム缶など日常的なオブジェが飛び出す。キャラは死んでも再び生き返り、ゲームは永遠に終わらない。コンセプチュアルな雰囲気が感じられる作品である。
他にも「世界の中心を指差す為のマシン」「断末魔ウス_」「SUPER DRIVE」を展示。
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KOSUGE1-16「クロスカントリーDX」
作家WEB |
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KOSUGE1-16「クロスカントリーDX」
ベニヤ板やプラスチックダンボールなど、濃い手作り感が漂うKOSUGE1-16の作品。この展示では自分の作ったスキーヤーを使ってクロスカントリーができる。
クロスカントリーのコースにはスキーヤーを滑らせるための仕掛けがあるのだが、それが超アナログ。ハンドルをまわす、ロープを引っ張る、足でポンプを踏む。こういう作品は頭で考えてもしょうがないので、体を使ってがんがん遊ぶしかない。スキーヤー作りも楽しく、自分なりのカスタマイズが可能。
真夏のクロスカントリーは子供たちに大人気で、速く進める方法を必死に考えだしていた。こういうときに大人は適当なところで切り上げてしまう(飽きてしまう)クセがついているものだが、子供はあきらめない。そういう光景を見ると子供が羨ましいと素直に思ったりする。
今回の展覧会のなかでも、子供の人気ナンバー1の作品であった。 |