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カン・ウヨン「unspoken
words」
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サテライトギャラリー −仕掛け続けるための拠点−
今回のTAPは、以上の3つのプロジェクトが中心となるが、その他、サテライトギャラリーの活動についてもふれておかなければなるまい。
サテライトギャラリーは、取手駅東口に程近いショッピングセンター内に昨年設置された。
その活動の一端については、昨年秋に開催された小松敏弘展でもレビューしたが、ここにはTAPの実施本部が置かれているとともに、取手ゆかりの作家や新進作家の展覧会なども通年で開催されており、それまで期間限定的性格が強かったTAPが継続して活動していくための拠点として機能している。
今回は、TAPの本展にあわせてサテライトギャラリーでも作品の公募が行われ、三好隆子とカン・ウヨンの作品が展示された。
三好隆子は旧取手宿本陣でも作品を展示しており、「あーだ・こーだ・けーだ」のメンバーの一員でもあるが、サテライトギャラリーでは「Tunneling」と題した作品が展示された。
とはいえ、正確には展示したという表現はふさわしくない。なにしろこの作品では展示室の中に入って作品を鑑賞することを想定されていない。「Tunneling」とは展示室の両端に穴を開けてその間をスポンジ製の筒でつなぎ、その中をくぐりぬける、という作品なのだから。
子どもがくぐるとちょうどいい、大人がくぐるにはちょっときついそのトンネルをくぐり抜けると、童心に帰ったようで楽しい。それとともに何とも不思議な気分にとらわれる。それは、中に入ってじっくり作品を鑑賞するべきギャラリーの空間の中を通り抜けるという通常ではありえない行為からくるものだろう。そしてそれも、ショッピングセンターの中を間仕切りしてつくられたこのサテライトギャラリーだからこそできるのだ。
一方、カン・ウヨンの「unspoken words」は、展示室内一面に藁を敷き詰め、その下の一角から炎をイメージした映像をスポットで投影するというインスタレーションだ。
敷き詰められた藁のにおいが充満するなか、ひそやかに燃える炎の揺らめきが天井に写し出される様は美しく、それを観ていると記憶の奥底を揺さぶられているような感覚を覚える。それは幼い頃の記憶か、それともそれより遥か昔の記憶なのか。
しかし展示室を出ると、明るい蛍光灯の光が降り注ぐショッピングセンターに引き戻されるのだ。そのような空間をショッピングセンターの一角に作り出してしまったことが何よりの驚きだった。
今回TAP本展と同時に展示ということでそのような中でもサテライトギャラリーの特性を活かした展示になっている点に好感が持てた。
思えば、1年の中で期間を限って街のあちこちで展開されるTAP本展と比較すると、継続的にホワイトキューブからアートを発信し続けるサテライトギャラリーは対照的なものであり、この2つが並び立つことで、TAPは仕掛け続けるプロジェクトとしての幅を広げているといえるのではないだろうか。
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