野村誠プロデュース 仕掛けあいプロジェクト「あーだ・こーだ・けーだ」
作曲家の野村誠がプロデュースするプロジェクトは、かつて野村が行ったワークショップでのこどもの感想から生まれた「あーだ・こーだ・けーだ」という言葉をタイトルに掲げた。
このプロジェクトは、仕掛けることは即ちやり始めることととらえ、アーティストやパフォーマーから学生、工員、はたまた小学生までバラエティに富んだ企画参加者が、連日のミーティングや合宿生活などを通してアイデアを出し合い、その中から生み出された玄関コンサートやワークショップ、ゲリラパフォーマンスなど数々の仕掛けを取手の街中で展開していった。
そのようなプロジェクトの性格ゆえ、プロジェクトの全貌は観ることはできなかったが、11月19日に開催された「あーだ・こーだ・けーだパーティー」でその一端を観ることができた。
これは、福祉会館内の各部屋で、丸1日使って作品の展示やパフォーマンス、「取手大喜利」などのイベントなどが行われたのたが、部屋ごと、あるいは時間ごとに内容がガラリと変わり、とてもバリエーションに富んでいる。
そしてそれは、夕方からのクロージングで最高潮に達する。
「やせたくて取手」「マルトノ音頭」の演奏では、ゲリラパフォーマンスなど予測を超えたことが次々と起こり、それらも巻き込みながら、いつしか大きな踊りの輪ができあがっていたのだった。
こうした光景を見ながら、果たしてこれはアートといえるのだろうか、と考えてみる。確かに美術館やギャラリーでの整然とした展示やステージでのパフォーマンスからは今回の「あーだ・こーだ・こーだ」は遠いところに位置しているのかもしれない。
しかし、取手内外の人々を巻き込む大きなエネルギーをこうして目の当たりにすると、そういったことはどうでもいいことのように思える。
それまでアートとの縁が薄かった地元の方々から、取手との縁が薄かったアーティストまで、様々な人々がこのプロジェクトを通して一体となる、これこそがアートだからなし得ることなのかもしれない。
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