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さまざまなベクトル
と
見えないボーダー
植松琢麿インタビュー
Takuma Uematsu Interview
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アートは動くものだ。
時間が流れるように、作品は変化している。
変化するから面白いと思うし、大変だとも思う。
今回、5年ぶりに植松琢麿の話を聞いた。
5年の間、何度も政権が交代したように、アートの状況も変化している。
複雑、多様、と言われて久しい現代で、アーティストは「どこ」で「何」を表現するのだろうか。
INTERVIEWER 藤田千彩
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「その森は謡う 2nd Family Project」、2009年、あさご芸術の森美術館での展示
作品コンセプトについて
“Ancient Futures”2008,2009, (ソウル市立美術館/韓国)の出品作品
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藤田
こんにちは、今日は5年ぶりに植松さんの話を伺います。
植松
今日はよろしくお願いします。
5年間とは早いものですね。
藤田
さっそくですが、私は植松さんの展示をなるべく見に行っているつもりなのです。
植松さんが住んでいる大阪や関西だけでなく、所属ギャラリーがある東京といった国内だけでなく、先日はアートフェアに出品されていた香港など、活動のエリアが拡大していますよね。
植松
今言われた以外にも、イタリアやドイツでも発表の機会に恵まれました。
そして、さまざまなベクトルの活動がありました。
藤田
場所移動というベクトルの違い、ではないわけですね?
植松
はい(笑)。実験的な展示からパフォーマンスの参加まで、5年を振り返るといろいろな活動がありました。
まず、2009年のソウル市立美術館でのグループ展“ancient futures”では、「このような時代に改めて、人間と自然との関係性を問う」というテーマで、私たちが解決しなければならない環境問題をはじめ、いろいろな角度からの自然へのアプローチが提示されました。
藤田
さまざまな角度とは?
植松
出品作家各々に違ったテーマ、例えば、循環、遭遇、共同体、有機的関係、蜃気楼、復楽園、喪失、生死、治癒などが冠されました。
その中で私は「共生」というワードをもとに、キュレーターと意見を交わし、《珊瑚の森》というインスタレーションを発表しました。
藤田
「共生」は、植松さんがこれまでも取り組んできたコンセプトのひとつですよね。
植松
そうですね、この《珊瑚の森》は、2004年に発表した《colony》の作品コンセプトを発展させたものです。
《colony》は細胞のかたまりという意味で、地球を「個」として捉えたら、そこでは人間は「ひとつの細胞」のようなものではないか、宇宙を「個」として捉えたら、地球がひとつの・・・という、個の境界をさまざまなレイヤーで考えています。
《珊瑚の森》の珊瑚は、個体が集合し、再び全体でひとつの個体を成すという部分と全体の関係性を持っています。
その関係性を作品に重ねて、人間、自然界における個の境界の“ありか”に意識を向けました。
私たちの感覚が、さまざまなデバイスで拡張していく中、変化する境界の“ありか”は、これからも探求したいひとつのテーマです。
藤田
私も見た兵庫県立美術館の「神戸ビエンナーレ2009 招待作家展 LINK-しなやかな逸脱」の展示も、似たようなものを感じます。
植松
あの展示も、《colony》から続くコンセプトで、よりスケール感を持たせた展示になりました。形態の変化を予期させる大小の白い動物たちがひとつの生命的な世界を成り立たせているイメージでした。
ガラス面から陽光が降り注ぎ、日中を通して表情が変化する展示空間には、自分でも初めての気づきをいくつか得られ、その後の展示にも活かされています。
神戸ビエンナーレ2009 招待作家展 LINK-しなやかな逸脱 (兵庫県立美術館)での展示風景 撮影:金子治夫 |
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植松琢磨(うえまつたくま)
個展
2001 |
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帰る場所はあるのです (信濃橋画廊, 大阪) |
2002 |
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あるべき場所はどこですか (信濃橋画廊,
大阪) |
2003 |
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I was born (信濃橋画廊, 大阪)
creatures create creatures (GALLERY.wks,
大阪)
big birth (ルーチェベルデオープンスペース, 松山) |
2004 |
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colony (GALLERY.wks,
大阪)
ceremony (海岸通りギャラリーCASO, 大阪) |
2006 |
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生命の部屋―αMプロジェクト(ASK?,
東京)
Life is a crystal (Kunstler-verein,
Malkasten/ドイツ)
Life is a crystal (信濃橋画廊, 大阪) |
2008 |
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crystal(東京日本橋高島屋6階美術画廊X,
東京) |
2009 |
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軌跡の描く森で(ギャラリーエム,愛知) |
2010 |
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IMPULSE 22 with Fabian Chiquet, IMPULSE GALLERY Christian Lohrl/ドイツ |
2012 |
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hyper cycle(ユミコチバアソシエイツ/東京) |
グループ展
2001 |
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第8回六甲アイランド現代アート野外展 (六甲アイランドマリンパーク,
神戸) |
2002 |
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鹿島彫刻コンクール展(鹿島ビル, 東京)
第9回六甲アイランド現代アート野外展 (六甲アイランドマリンパーク, 神戸) |
2003 |
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Party (CAPハウス, 神戸) |
2004 |
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ARTCOURT FRONTIER 2004
(アートコートギャラリー, 大阪)
gallerism2004 (大阪府立現代美術センター, 大阪) |
2005 |
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The 1st Pocheon Asian
Art Festival (Pocheon Banwol Art Hall,
Pocheon city/韓国)
Iimawashi〈EDINBURGH ART FESTIVAL〉(Merz
Gallery, Scotland/イギリス)
The Goyang International Sculpture Symposium
2005 (Goyang city/韓国)
大阪アートカレイドスコープ OSAKA05 (大阪府立現代美術センター,
大阪)
ハネ (neutron, 京都) |
2006 |
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Quadriennale 06 - Dusseldorf
(GALERIE MAIER-HAHN, Dusseldorf/ドイツ)
gold rush (KEUMSAN GALLERY, Heyri/韓国)
素材:本 (ノマル・プロジェクトスペース, 大阪) |
2007 |
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日本現代芸術祭 (ヘイリ芸術文化村, Heyri/韓国)
ニコン フォトコンテスト インターナショナル 2006-2007 入賞作品展(ニコンサロン,
新宿・大阪)
現代美術芸術家列伝(大阪造形センター, 大阪)
I meet ・・・(大阪海岸通りギャラリーCASO, 大阪)
2007 ヘイリ アジア青年作家プロジェクト (ヘイリ芸術文化村, Heyri/韓国) |
2008 |
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Bains Numeriques #3' (Centre
des Arts Enghien les Bains/フランス)
稲垣智子と制作した映像作品「One day,I meet…」を出品 |
2008-09 |
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“Ancient Futures” (ソウル市立美術館/韓国) |
2009 |
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神戸ビエンナーレ2009 招待作家展 LINK-しなやかな逸脱 (兵庫県立美術館)
ヨッチャンの部屋Vol.4「アトリエの音楽」展( OZC GALLERY+CAFE, 大阪)
その森は謡う 2nd Family Project (あさご芸術の森美術館,兵庫)
Artsチャレンジ2009 (愛知芸術文化センター,愛知) |
2009-10 |
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THE GOD OF THE SMALL THINGS (casa Masaccio現代美術センター,Corso/イタリア) |
2010 |
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美術の中の動物たち(尼崎市総合文化センター,兵庫) |
2011 |
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ヨッチャンビエンナーレ(中之島デザインミュージアム、大阪)
OAP彫刻の小径2011「himan/humor」(大阪市北区天満橋OAP公開緑地内,大阪) |
2012 |
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AGAIN-ST(東京造形大学 CS GALLERY) |
その他の活動
2001 |
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「フルクサス裁判−破壊的ピアノ・パフォーマンスとコンピュータによる」に出演
(国立国際美術館, 大阪) |
2002 |
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シネマデジタルに出演 (京都芸術センター,
京都) |
2003 |
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ワークショップ「触覚」 (アートカレッジ神戸,
神戸)
electric music party [port]volume4.,
5. に参加 (築港赤レンガ倉庫, 大阪) |
2004 |
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「ベン・パターソンの冒険的大演奏旅行」に出演
(ジーベックスタジオ, 神戸) |
2006 |
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ART IN CASO/OSAKA(大阪海岸通りギャラリーCASO,大阪) |
2007 |
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DEBLI project (LE DECO,
東京)
ART IN CASO/OSAKA(大阪海岸通りギャラリーCASO,大阪) |
2008 |
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ART OSAKA 2008 (堂島ホテル、大阪)
101TOKYO Contemporary Art Fair 2008(Discover
New Artists gallery@TAGBOAT)
(旧練成中学校,東京) |
2009 |
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水都大阪2009 ワークショップ「どうぶつのわ」(大阪) |
2009-10 |
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イクコ青山店(東京) ウィンドウディスプレイ |
2011 |
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ART COLOGNE(gallery Christian Lohrl、ケルン/ドイツ) |
2012 |
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TOKYO FRONTLINE 2012「SELECTED ARTISTS SHOWCASE 2012 emotional material」(3331アーツ千代田、東京)
KISS THE HEART#1三越伊勢丹 キス・ザ・ハート#1 東日本復興支援アート&チャリティプログラム |
2013 |
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Art Basel Hong Kong 2013(エンカウンター部門 東京都現代美術館チーフキュレーター長谷川祐子選、香港)
[Music Today on Fluxus 蓮沼執太 vs 塩見允枝子]にパフォーマーとして出演(国立国際美術館, 大阪)
ART BEIJING 2013: Mercedes-Benz Art Unforbidden Thematic Exhibition(Agricultural Exhibition Center、北京)
ART MACAO 2013 special exhibition (Macao CotaiExpo(tm)HallA、マカオ) |
パブリックコレクション
今後の予定
2008年10/3-10/26
個展「珊瑚の森」hpgrp GALLERY TOKYO
2009年6/14-7/26 個展 ギャラリーエム(愛知) |
アーティストに関するお問い合せ
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植松琢磨さん |
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