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[谷口顕一郎インタビュー]
谷口顕一郎インタビュー
Brunnenstr.10 Berlin #4 2008, Plastic, Hinges, 17x18x15cm convoluted state/photo Daisuke Iwamoto
「形」としての地面の凹み
木坂
凹みを作品にするようになったのはいつごろから?
谷口
今考えたら、「これはもう凹みだな」って言える作品を作ったのは2000年かな。もちろん当時はそういうものを「凹み」って呼んでなくて。
木坂
大学では絵画を先攻されてたんですよね。
谷口
絵画のコースにいたけど、彫刻科の授業も全部とってた。
木坂
当時は大きい作品も作ってた?
谷口
素材やサイズも一通り試したし、学生時代から絵画も彫刻もいっぱい作ってたんだけど、結局、「ボリューム」には興味が湧かなかった。平べったいシルエットとか、平面的な形に興味があった。だから今の僕の凹み彫刻も、ボリュームはないでしょ? 平べったくて畳んでボリュームを出しているけど、それが特徴的だと思う。
木坂
確かに。作品ファイルを見てると、今の凹みの作品に至るまでの片鱗があるし、つながってますね。
谷口
「凹みって、すごい良いアイデアだね」ってよく言われるんだけど、僕にとってはアイデアじゃないんですよ。ある日突然「よし、凹みを取ってみよう!」ってひらめいた訳ではなくて、ものすごく時間がかかってやっと出てきたもので僕は、奇抜なアイデアやインスピレーションが天から降りてくる、というタイプの人間ではないしちょっとずつ凹みに向かって変わっていったかんじです。
木坂
凹みを意識し始めた頃の作品と今の作品を比べると、年々より複雑になっているというか、彫刻としての完成度がすごく高くなっているようにお見受けします。
谷口
やっぱり最初凹みに出会った頃は、まだ自分が良いと思う凹みを選ぶっていう事をまだしてなかった。展覧会の会場にたまたまあったものに対して作ってたので。だからその頃の凹みって、今見ると少し迫力不足。
木坂
凹みに対して意識する部分が変わっていったんですね。
谷口
そう。最初は、「こんな凹みの形にピッタリはまるようになったらいいな」と思いながら作ってたけど、その取り出した形は取り出した形でどこどこの凹みとか言わなくてもおもしろいんだ、ってことに気づいて少しずつ変化していった。
木坂
なるほど!
谷口
凹みの見え方も変わっていってる。結局どんな凹みを選ぶかっていうのも、その傾向が年々変わっていくのも、僕自身が変わってるから変わっていく。凹みを選ぶのも、そう。凹みってただの凹みではなくて僕の気持ちを反映しているのかもしれないな。
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