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坂井淳二インタビュー

版画と伴走する
坂井淳二インタビュー
Junji Sakai Interview
Interview 藤田千彩 Chisai Fujita

版画を知るまで


藤田
今回は坂井さんが働いている大阪芸術大学にお邪魔して、公開インタビューとして話を伺います。
ここは大学ということで、まず坂井さんが大学時代に何をしていたか、どうして版画を専攻したのか、を教えていただけますか。

坂井
今日はよろしくお願いします。
僕は2回生(※)のとき〜バイトをしていました。
(※関西では2“年”生を2“回”生と呼ぶ)ダブっています。
版画を専攻していましたが、絵を描きたいと思っていました。
でも、2回生のときに他人と話すことがとても嫌で、引きこもってしまったのです。
とはいえ家にいたわけではなく、展覧会を見に行ってたし、自分で車を買ったので全国津々浦々と旅行したり、友達を頼ってバイトをしていました。


藤田
青春ですね。

坂井
そうですね(笑)。
2回目の2回生をしていると、学年がずれたせいで友達とわいわい話すこともなくて。
そのとき一番やりにくいと思っていたのが版画の実習で、リトグラフの製版がうまく行かないこと、自由な表現をうまくできないことにいらいらして、コラージュしたり、その上から油絵具を乗せたり、ということをしていました。
しかし手が止まってしまったのです。

藤田
手が、止まったんですか。

坂井
そうなんです。
モチーフとか自由に表現していると思ったし、インクで版がつぶれたものを持って帰ってその上に色を塗ったり、何か貼り付けただけで作品になる。
でも、手が動かなくなったんです。
そんなとき版画の実習のとき、版画の不自由さ、決めごとやこのサイズじゃないとできない、プロセスを踏まないとイメージが形にならない、といったことを踏まえないといけない「版」というものに興味を持って行ったのです。


2009年の番画廊の展示風景


版画である理由



Lluna de Febrer '12-I 76.0 x 56.0 cm lithograph 2012

藤田
どうしてそんな不自由に感じたものを辞めなかった、つまり40歳にもなろうとする今も続けているのですか。

坂井
いろいろ悩んでいるときに、山口県の瓦屋さんでバイトをしたことがあったんです。

藤田
ほお、山口県? 屋根の瓦? ですか。

坂井
そうです、半年授業に出て、半年フラフラするような生活をしてたんです。
山の中で作業して、休憩時間に絵を描くようなことをしてました。
今の生活で一番ちゃんと絵を描ける場所はどこだ?と考え直したとき、大学だと思い直して、ちゃんと大学に行くようになったんですね。
学校へ戻ったときに、フラフラした自由な時間に描いた絵を、先生たちが「面白い」と評価してくれたんです。

藤田
へえ!

坂井
それと、もうひとつ大きなきっかけがあって、僕の実家が印刷屋なんです。
よくよく自分の生まれ育った環境を思い出してみると、紙ひとつとってもみんなとりアリティが違うし、版と刷られているものは真逆だし、インクがついたものだし、というのは小さいころから分かってたし。
インクをふき取った紙、断裁、みたいな印刷でつかわれるものも身近だったから、プロセスもあまり考えなくて版画を理解できていたように思うんです。
それで積極的に版画をとらえることができるようになっていったんです。

 
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坂井淳二(さかいじゅんじ)

略歴
1971   香川県 坂出市生まれ
1995   大阪芸術大学 美術学科卒業

個展
1996   番画廊(大阪)('97,'00,'02,'03,'04,'05,'06)
1997   ギャラリーGORO(大阪)
2003   Ateneu Santfeliuenc(バルセロナ・スペイン)
2006   HANARE 「Shape of the moon」(兵庫)
Quiosc Gallery(トレンプ・スペイン)
2007   坂井淳二展「望洋」 小島びじゅつ室(東京) 
「Shape of the moon」番画廊(大阪)
エスプリ・ヌーボ(岡山) 
2009   「Pale Moon」番画廊(大阪)
「Shape of the Moon」 アートフロントグラフィックス(東京)
2010   Pale Moon」Oギャラリー(東京)
「Pale Moon」番画廊(大阪)
「Pale Moon」ギャラリーエフェメール(大阪)
2011   「Lluna plena de febrer」galeria esther montoriol (バルセロナ・スペイン)
「玄月」小島びじゅつ室(東京)
2012   「Luna de Febrer」Oギャラリー(東京)
「二月の月」番画廊(大阪)


グループ展
1994   第19回全国大学版画展(町田市立国際版画美術館/東京)
1997   現代作家の目展/クロスオーバー10 現代美術展(岡山県立総合文化センター/岡山)
1998   第12回現代版画コンクール展(大阪府立現代美術センター/大阪)
新世代の版画家たち '98(gallery coco/京都)
1999   PRIMARY STATEMENT(CITY/GALLERY/大阪)
2000   第7回 画廊の視点(大阪府立現代美術センター/大阪)
2001   El port paisatge en transit(centre cultural/fundacio caixa terrassa/スペイン)
PRIMARY STEATMENT (Oギャラリー eyes/大阪)
2002   2002年第4回全国公募西脇市サムホール大賞展(西脇市岡之山美術館/兵庫)
9th「コレクターへのすすめ」展(Oギャラリー/東京 ('03,'04,'05)
大田国際版画展 (Daejeon jung-gu Cultural Center Gallery and Korea Currency Museum Gallery/韓国)
第2回 山本鼎版画大賞展(山本鼎記念美術館/長野県上田市)
2003   CONTINENTES (Galeria Harmann/バルセロナ・スペイン) 
JEANS FACTORY CONTEMPORARY ART AWARD 2003 グランプリM賞最終審査展 (高知文化プラザ かるぽーと/高知)
2004   第18回ホルベインスカラシップ奨学生
版画大賞展(新道ギャラリー/北海道)
関西現代版画の開拓者と新世代達『版画の力』展(京都文化博物館/京都)
2005   「版画の力」倉敷展 -西の現代版画の新世代たち-(加計美術館/倉敷)
MUSEUM LABORATORY 2005「現代美術ニオケル発生的退行ノ輝カシ起点」(海岸通りギャラリーCASO/大阪)
2006   「6SENSE」(ギャラリーエスプリ・ヌーボー/岡山)
「PRISM」Paint+Painting+(Oギャラリー/東京)
2007   「ガラス繪展」(番画廊/大阪)
「版画DE扇子展」(番画廊/大阪)
2008   BUSAN BIENNALE 'Art is Now' (Busan city hall/韓国)
EXPOSICIO A L'ALZINA DE RIBELLES JUNJI SAKAI - JAUME AMIGO (L'ALZINA/スペイン)
「JAMIN-2」(ギャラリーエスプリ・ヌーボー/岡山)
2009   「2009 Art Front Collection 展」- 春風献上 - (ヒルサイドフォーラム・アートフロントグラフィックス/東京)
「2009 Korea & Japan Contemporary Art Expression and Method Exhibition」 (Art Center Dong Back/韓国)
「JAMIN-3」(ギャラリーエスプリ・ヌーボー/岡山)
2010   「西風のグラフィックス」(オリエアートギャラリー/東京・ギャラリー旬/愛知・番画廊/大阪)
2011   「JAMIN-4」(ギャラリーエスプリ・ヌーボー/岡山)
2012   「Retrospective exhibition」(ギャラリーエフェメール/大阪)
「made in Japan」(Sant Pere De Riudebitlles/スペイン)
「Biennale Internationale de Casablanca 2012」(カサブランカ/モロッコ)


坂井淳二さん 
 



 

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