toppeople[大崎のぶゆきインタビュー]
大崎のぶゆきインタビュー
そばかす-0151-/2001 綿布、アクリル、インク、鉛筆、パラフィンワックス 170cm×180cm


記憶と思っていることの違い

  右/ほくろ−0212−/2002 綿布、アクリル、インク、鉛筆、パラフィンワックス 157.5cm×202cm
左/ほくろ−0202−/2002 綿布、アクリル、インク、鉛筆、パラフィンワックス 76.5cm×97.5cm
個展「間の距離」展示風景/Oギャラリーeyes,大阪

大崎
やがていろんなことをやっていくうちに、僕がこの世の中を認識していることや目に見えることにズレや違和感があると思い始めたんです。


藤田
ズレですか?

大崎
「記憶や思っていること」と「実際目に見えることや認識していること」の違いがありますよね。
「自分って何なんやろ?」と考えていくと、「自分がよく分からない」というときがあるんですよ。
たとえば、再放送のドラマの最終回が覚えていたことと違う、他のドラマの最終回と混ざってたり、とか。
コンビニで立ち読みしていたら、待ち合わせ時間になって途中で読むのをやめて、またコンビニに戻って読み直したときに、同じ雑誌なのにさっきまで読んでいた所がいくら探しても見つからないとか。


藤田
寝ているときに見た夢でしゃべったことと現実にしゃべったことが混ざって、「こういうこと言ったでしょ?」って聞いたら通じなくて、考えたらそれは夢での会話だった、とかありますよ。

大崎
そういうことです、「記憶や思っていること」と「実際目に見えること」の違い。
記憶はあいまいなものだからあいまいでいいや、ということでつくったのが《そばかす》、《ほくろ》。
これは、絵画をロウで覆った作品です。


藤田
はい。

 
skin hole project[#01Dusseldorf]/2003 映像(11分)
  skin hole project[#01Dusseldorf]/2003 映像(11分)


大崎
真逆のこともしようと思って、2003年にドイツで滞在制作をしたときには《skin hole - skin sense》という作品を発表しました。


  skin hole project-skin sense-[#01Dusseldorf]/2003 ラムダプリント

 
 
 

skin hole project[#01Dusseldorf]/2003 人型ピンホールカメラ(FRP、その他)、ビデオ(11分)
人型ピンホールカメラによって撮された写真 インスタレーション

 

skin hole project[#01Dusseldorf]/2003 人型ピンホールカメラによって写された写真の一部 シルバープリント

 
  個展「皮膚呼吸」(ART-EX帰国報告展) 大阪府立現代美術センター/2003

藤田
これ、大きそうですね。

大崎
僕自身の人型を取って、ピンホールカメラがついているんですね。


藤田
ピンホールってことは、ずっと置いてなきゃだめってことですか?何時間とか。

大崎
フィルムでつかってるので、10秒ぐらい。


藤田
え?10秒?

大崎
印画紙をつかうと時間が掛かるのですが、フィルムなので。


藤田
外側はトランクみたいな状態なんですか?

大崎
そうです。
正直に言うと、大学時代に音楽学部の子が持っていた大きなコントラバスのケースを参考にしています。
これ、ドイツのレジデンスに行く直前くらいに日本でつくって持っていったのですが、ちょうどアメリカがフセインを攻撃した危ない時期で、空港とかで「これはなんだ」って大変だったんですよ(笑)。


藤田
あはははは。それはすごい。

大崎
自分の型をとったものなので自分が見ているようにという意識で、日本で2回、ドイツで1回、街中へ設置して、外の風景を撮影しました。
世の中はあいまいなものだけれども、この穴をあけるだけという純粋な光を取り込むピンホールカメラで撮影することで世の中を認識することできると思ったんです。
 
 
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