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西野達インタビュー


《天上のシェリー》2006TOKYO ©Nacása & Partners Inc Courtesy of Hermès Japon Co., Ltd.


名古屋で作品集を見つけました!



《天井のシェリー》2006TOKYO 普段のエルメスビルの風景


《天井のシェリー》2006TOKYO ある日、エルメスビルの屋上に、ビニールシートの小屋?が出現


友利
実は、ここに西野さんの作品集があるんですよ。

西野
え?もう出ちゃってるの?出来上がりは見てないから見せてよ。あいちトリエンナーレのオープニングに合わせて出版したんだ。
10年位前から、自分の好きなカタログを作りたくて、アイデアをずっと温めてきて実現した物なんだ。たいしたアイデアでもないけど,ハードカバーは大嫌いだから,雑誌のようなカタログが作りたかった。
初期からの作品がほとんど載ってるよ。いいでしょ、ペラペラと安っぽくページをめくれて。これで4,000円とは高いと思うかもしれないけど、アート作品だと思えばめちゃ安い!


友利
ええ。どこでも開ける手軽さと作風がマッチしていますね。
どのページも面白くって!楽し過ぎです!!!!
信じられない発想だらけ!「ふいを突かれた」快感がいいなぁ。
これですね。「あなたもビクトリアと寝れる」っていううたい文句の作品は。(《villa victoria》)
私は、クレーンで引き上げられたコンテナのカフェでお茶が飲みたいな。

西野
それはちょっと無理かも。この時は奇跡的に許可が出たけどね。アイルランドの首都ダブリンで実現したのだけれど,市役所のお偉いさんがこのアイデアをすごく気に入って、多くの反対者を押し切って実現へ引っ張ってくれたんだ。こういう強力な後ろ盾がないと,この作品は実現の可能性が低いよ。実際毎年といっていいほどこのコンテナカフェ実現の話が来るけど,未だにちゃんとした形で実現したのはダブリンだけ。


友利
それは残念。西野さんに直接お聞きしたいと思っていたことなのですけど、西野さんは、モニュメンタルな物を囲っちゃうではないですか。これは裏に何かのメッセージがあるのですか?

西野
俺の作品をモニュメントとともにすごく深読みしてくれる人もいるのだけど、作品に取り入れるモニュメントはその歴史的な背景よりも立っている場所とその外観から選ぶことがほとんどだね。俺がモニュメントを見た時の第一印象が大事で,テーマやコンセプトはその後から来る。俺にとっては俺の作品の多くにかかわるテーマ「プライベートと公共」とか「外と内」の方に興味があるね。もちろん俺の作品がその町の歴史や人物と関係つけられることには、ある意味当然だとも思ってる。そこから俺の作品を掘り下げる人がいても構わない。人それぞれにアート作品の受け止め方が違うから面白いんだ。
でもモニュメントの歴史をしつこく聞いてくる人もいるので,俺は歴史家や哲学者じゃなく別の視点からこういったアートを作っているんだという意味もあって、プロジェクトとは全く違った印象を持たれるマンガみたいなドローイングを描き始めたんだ。


友利
そうだったんですね。
エルメスでの作品なんですけど、ブランドかぶれの私は、ちょっとドキッとしましたか
ら、西野さんの作品には何かメッセージが隠されているのか聞いてみました。

西野
ああ、エルメスの作品ね。あれは、エルメスが店の増築工事でしばらく店を閉鎖することになって、でも、これまで続いてきた展覧会を中断するのはもったいない、ということで俺に話がきたわけ。
最初エルメスって俺は知らなかったんだけど、高級ブランドだと知って断ったの。だって、俺の作品って一見汚らしいじゃない。豆腐仏陀だって美しいものではないでし、「転がる愛知」のネオンだって俺のへたくそな字を元にしている。リビングルームを作ってもビニールシートとかで囲ってしまうし。水戸の展覧会で「青いビニールシートで囲わないでください」って役所から言われたことがあるよ。
それで「俺のいつもやってるような展覧会をすることで、エルメスの評判を落とすことになるかもしれません。大丈夫ですか?」というメールを送ったの。そしたら向こうから「全く問題ありません。もう好きなようにしてください。」って返事が来たのよ。
エルメスは文化先進国から来てるからか、そういうことにはすごく理解がある。文化に対する考え方、芸術作品に向き合う姿勢が違う。アート作品で自社を宣伝しようなんていう、そんなレベルじゃない。文化に対する懐が深いよ。
エルメスの時も、実は最初銀座の街中で何か建てるアイデアもあったんだ。でも日本の規制が厳しすぎるので結局また自社ビル、つまり私有地での作品となったわけ。あんまり気づかないかもしれないけど,横浜をのぞいて日本でしたプロジェクトのすべてが私有地での発表だよ。
この作品のコンセプトのキーワードは”銀座”です。カタログにあとから挟み込まれるはずの福住鎌のテキストを読めば,エルメスの作品の別の見方が現れて来ると思うよ。


友利
さすがエルメスですね。ますますバッグが欲しくなる(笑)。

■カタログタイトル
『Tatzu Nishi alias Tatzu Oozu alias Tatsurou Bashi alias Tazro Niscino
西野 達 別名 大津 達 別名 西野達郎 別名 西野竜郎』

■仕様 オールカラー 並製ソフトカバー 226ページ
225 x 300ミリ, 定価3990円(税込)
オリジナルプリントにドローイングのエディション、あるいはプリント作品のエディション1点付きの豪華セットもあり、限定で6〜7万円になる予定。作品は4種を検討中。

■販売場所
NADiff a/p/a/r/t
渋谷区恵比寿1-18-4 1F tel 03-3446-4977
http://www.nadiff.com/shopinfo/shoplist/map_apart.html

ARATANIURANO
中央区新富2-2-5 新富二丁目ビル3F tel 03-3555-0696
info@arataniurano.com  http://www.arataniurano.com/

BLD GALLERY
中央区銀座2-4-9 SPP銀座ビル8F tel 03-5524-3903
info@bld-gallery.jp  http://bld-gallery.jp/

その他:
東    京:青山ブックセンター本店&六本木店、アート&デザインセンター(森ビル3階)、
          丸善、紀伊国屋、東京都現代美術館
名古屋:ナディッフ愛知、豊田市美術館
大    阪:心斎橋アセンス

 
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