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《Garden of Blank》 紙、
糊、 その他, 700 x 2000 x 500 cm, 2003 Nomart Projects #02_10
中西信洋展 空洞と空白, ノマル・プロジェクトスペース キューブ&ロフト, 大阪(2003.9.6 - 9.26) |
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《Form of Gap 1》 紙、糊、その他,
210 x 210 x 210 cm, 2004 Supplement, ギャラリーそわか, 京都(2004.5.15
- 5.30) 撮影/豊永政史 |
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《Stripe Drawing
- Tokushima sky》(部分) 鉛筆、紙, 500 x 2017cm, 2008 現代アートによる徳島再見,
徳島県立近代美術館(2008.2.9-3.23)
撮影/森宮英文
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物質感からの解放
藤田
京芸に行って、それから作品を発表する作家になっていくんですよね。
最初の頃はどんな感じでしたか?
中西
2003年に《Garden of Blank》(画像a)を作ったんですけど、実は関西で発表すると「80年代に見たよね」とか「中原浩大がもうやってるよね」っていうような反応がほとんどだったんですよ。
それで、「僕の作品の何がそう思わせるんだろう」って考えたら、単純に「物質感」、物の量やテクスチャーのせいかもしれないと思って。
藤田
それに気付いたんですね。
2004年の《Form of Gap 1》(画像b)という作品はちょっと違う感じがしますが?
中西
これは、2m10cm四方の箱の中で、蟻みたいにしてパルプをぺたぺた貼り付けていて、真っ暗闇で全体が見えないから箱を外した時に初めて形が分かるという作品です。
僕がやろうとしたのは、物質感というよりも、触っていった行為の「跡」でした。
ただものを外側から眺めるというものではなく、その中に入り込んでみるというふうに自分の身体の置き場をかえてみたんです。
そうすることでパルプの塊という物質の部分が大事なのでは無く、2m10cm四方の小部屋の中の空間として残っている部分が重要なのだということをはっきりと意識する事ができました。
藤田
じゃあ、そこで転換が起きた感じがしますね。
中西
《Stripe Drawing》シリーズ(画像c)や《Layer Drawing》(画像d)シリーズも、物質感が大事な要素ではないっていうことなんですよ。
ストライプの鉛筆は、キャンバスとか物とかじゃなく「空間」に線を引いてるけど、それもさっき言ったように「触れた軌跡を残す」ということです。
物質っていうものを一旦保留して、取り囲んでいる空間に「どう自分が軌跡を残すか」 という感じになって。
スライドの作品も、物質感があまり感じられない画像がプリントされた透明な「フィルム」で、立体的な空間を作るということです。
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d.《Layer
Drawing - Cloud / Fog》 透明フィルムにインクジェットプリント,
100 x 100 cm x 100 sheets, 2005 The Exhibition
of Artists in Residence Program 2005 / Autumn,
transformation / metamorphosis, 国際芸術センター青森(2005.10.29
- 11.20) 撮影/山本糾 e.《Polka dot cave》 透明樹脂,
50pieces Nomart Projects #02_10 中西信洋展 空洞と空白,
ノマル・プロジェクトスペース ロフト, 大阪(2003.9.6 - 9.26) 撮影/金子治夫
i.《Layer Drawing - Cloud》 透明フィルムにインクジェットプリント,
100 x 100 cm x 100 sheets, 2005 Saturation,大阪府立現代美術センター(2006.2.15
- 2.27) 撮影/豊永政史 |
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藤田
《Layer Drawing》はどうやって出来たんですか?
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《Layer Drawing
#001-081》ミクストメディア, 5 x 5 x 4.2 cm, Edition: 30,
2004(#001-009), 2005 (#010-081) 彫刻の単位展, ノマル・プロジェクトスペース
キューブ&ロフト, 大阪(2005.2.26 - 3.26)
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《Layer Drawing - Cloud / Fog》透明フィルムにインクジェットプリント,
100 x 100 cm x 100 sheets, 2005 The Exhibition
of Artists in Residence Program 2005 / Autumn,
transformation / metamorphosis, 国際芸術センター青森(2005.10.29
- 11.20) 撮影/山本糾
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中西
《Layer Drawing》を作るきっかけになったのは、《Polka−Dot Cave》(画像e)という作品を、リバーサル・フィルムで写真に撮ってた時のことなんですけど。
パシャパシャって撮ってたら全部失敗して、露出オーバーで真っ白な写真に仕上がってしまって。ほとんど写ってなかったんだけど、それを重ねてたら輪郭だけが見えたんです。それが、なんか立体的に見えて。
そんなことがあって、ある日、お好み焼きを食べてるときに、鉄板の上のお好み焼きが無くなっていく状況を24枚の写真で撮ったらどうなるんだろうって単純に思って。
藤田
最初丸だったのを段々食べていって。うんうん。
中西
そういう発想で、アイスが30分かけて溶けていくのを撮ってみたら、変な立体というか、スライムみたいな一個の塊になって。
それが面白かったから「なにかやってみよう」と思って、自分の身の回りにあるものをなんでもレイヤー化するっていうことで81点作ったんです(画像f,g)。
藤田
とりあえず思い当たる節は全部撮って。
中西
そこから、2005年の青森のレジデンスに行った時に、もっと大きくしてみようと思って。
正面からの透過性ってほとんど無かったけど、横から見たときの変化っていうのがすごくダイナミックで。そうやって移動して見るから、見る人の歩く時間っていうのが加わって、運動が加わって。
(画像h)
藤田
たしか、大阪の現代美術センターの時は、わっかになってましたよね。(画像i)
中西
そうそう。まるで当たり前の様に、皆ぐるぐる歩き回って、誰も止まって見ない(笑)。
一枚一枚撮った「写真の平面」、それが重なって「立体」になる、それは更に「時間の集積」でもある、それが歩きながら「ループ」していく。
そんな風に、一つの物の見え方がぐるぐると変換していく。このループ自体が僕のやろうとしてることなんじゃないかなって、これを作った時に感じました。
藤田
なるほど。物の見え方もループしていくっていうことなんですね。
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