出会った人とやっていく柔軟さー「セカンドプラネット」
友利
宮川さんのことを知りたくて年譜をたどってみるのですが、1990年頃から宮川さんの名前が出てこないのですよ。
いつも「セカンドプラネット」というユニットで制作されるのですか?
宮川
セカンドプラネットは、1994年に外田久雄さんと結成したユニットなんだけど、二人だけの閉じた世界ではなくて、いろんな人とコラボーレションをやっていく活動としてはじめました。
どんな作品を知っていますか?
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《THE FUTURE FOR ART MUSEUM / FORTUNETELLERS PROJECT》
《An Interview with Andy Warhol, 2006》
《tokyo - prague》
《tokyo - prague》
《karasu》
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友利
「美術館の占い」のシリーズ!あれは笑いました!
宮川
《THE FUTURE FOR ART MUSEUM / FORTUNETELLERS PROJECT》ですね。
これは、美術館の未来を街の占い師に占ってもらうというプロジェクトです。北九州市立美術館、福岡市美術館・広島市現代美術館・金沢21世紀美術館を占ってもらった映像を編集してそれぞれの美術館で展示しました。
金沢で発表した作品は、日本だけじゃなくてマニラ、ベルリン、プラハと東京のアーティストに依頼して各地の占い師のところに行ってもらいました。
そのアーティストが撮影した映像を送ってもらい、僕と外田さんで編集しました。
僕たちの仕事は誰かが撮った映像を集めて編集することでした。
《An Interview with Andy Warhol, 2006》は、これも「イタコ」みたいな人に、ウォーホルを呼び出してもらってインタビューしました。
友利
あ!見ました!これも大爆笑の作品でしたね。…笑ってばかりですみません。
そう言えば、東京写真美術館に出品された作品だと思いますが、
セカンドプラネットからメールで「今、何が見えますか?」という問いが送られてきて、画像や言葉で答えるメンバーに登録したことがあります。
宮川
東京写真美術館での風景のプロジェクトと言うと、2006年の《東京ープラハ、プラハー東京》という作品も出品しました。東京で携帯メールを使って集めたテキストをプラハに住む友人に送って、その風景をプラハでさがしてもらい、プラハで集めたテキストを東京で探すという作品で、スライドショーにして展示しました。
友利
この作品は、テキストが断片的で、記号や暗号めいていて、風景のどこにこれが隠されているのか、必死に画面を見ましたよ。
そうそう、「カラスの画像をメールで送ってください」と言う作品にも登録しました。
宮川
それは、送られてきたカラスの写真をアニメーションにして、硫黄島の写真をバックに使いました。挿入した音は、戦前の東京ローズたちのプロパガンダのラジオ番組です。
僕の制作っていうと、必ずしもその素材を自分たちで作る必要性をそれほど感じていません。
分かり易い例としては、キャンディー・ファクトリーの古郷さんと作った作品で、《キャンペーン・アンド・プロダクツ》という作品があるのですが、それは、TOTO、タカギ、アサヒビール、モスバーガー、シャボン玉石鹸などの企業から、素材のクオリティがめちゃくちゃ高くて、広告のために撮られたものを別の文脈で見せるという作品です。
作業としては広告代理店みたいなもので「会社に行ってこれとこれを貸してください。」というその交渉も僕たちの制作過程だと考えました。
僕のアートの実践としては、文脈として、代理店みたいなそういうカンジ?
ダン・グレアムとかの影響を受けてるのかもしれないな。デュシャンとかもそうだけど、彼らはものの見方と制作のプロセスの可能性を広げてくれた人ではあるなと思っています。
やってることがシンプルで、「これを選んで、こっちに置けばアートになる。アーティストが出来ることは、選択と配置だけだ」みたいな感じですが。
これにはその作品だけじゃなくて、それが成立している環境やシステムとか、ミュージアムとかの展示される空間の文脈が重要になってくる。デュシャンは展覧会に便器を置いて受け入れられなかったという事実さえも、ある種の作品が成立する文脈の一部みたいでしょ。
その話は嘘でもどっちでもよくて、価値をずらしているわけですから。
そういう意味の転換というものはアートの機能の一つとして、近代以降の美術にそれが顕著にあるんじゃないかなという気がするんですよね。
でもずっと考えると、マティスでもモネでも近代の絵描きでもクールベルでも、やり方は違うけどアートの世界で、みんな実験を繰り返してきたんでしょうから。
その歴史の中で、さまざまな文脈をアーティストが作ってきたということが凄く重要なんだろうなと思います。
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