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[窪田美樹インタビュー]
窪田美樹インタビュー
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a.
《屈葬》、2000年
b.
《ドローイング》、2000年〜
c.
《ドローイング》、2000年〜
d.
《ドローイング》、2000年〜
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c
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埋めたい、埋まりたい
藤田
つまり、次は「埋める」ということに興味が移ったのですね。
窪田
はい。作品化する事を考えると同時に、なぜ自分が「埋める」に興味を持つのかについても考えました。制作の経験を通して、埋まっている事に興味を持ったんです。そこに身体の感覚が関係なくはないだろうと、思いました。
藤田
身体の感覚、ですか。
窪田
さも自分が埋まっているかのように感じる作品、ということです。
藤田
ええっ!それをどうやって表現するのですか。
窪田
そのままなのですが、雑誌の切り抜きを使って、平面作品を制作しました(写真a、c、d)。様々なポーズをとるモデルの身体の間をクレヨンで埋めていきました。なるべく一つの塊に見える様に、陰影をつけたりして。またこれは、埋めていけば出来上がるという点でも、これまでの制作方法とつながる部分があり、自分に合っているものでした。
藤田
それを立体作品にしなかったんですか?
窪田
このまま立体にすることには抵抗がありました。というよりも不可能だと思ったんです。例えば立体のドラえもんって本当は少し違和感があります。平面上で成立しているものを立体化することの不自然さを、簡単に了解したくなかったのです。私の制作にこの問題は後まで続きます。
藤田
確かにドラえもんのたとえは分かりやすいというか、平面と立体の違いを感じるのは分かります。
窪田
「埋める」というアイデアで立体作品は作りたかったんです。どうしようかなと思った時に、人を想起させるようなものに置き換えて作ることが、問題の多くをクリアできるんじゃないかと考えました。また、ゼロから作らなくてよいというところで、既製のものである必要もありました。そこで出てきた素材が「家具」です。
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《空寝》、2000年
f.
《結晶》、2005年
g.
《花》、2002年
h.
《くちばし》、2002年
藤田
いまもなお、窪田さんの作品はソファや椅子、タンスといった家具が多く使われていますね。そういうところから出てきたなんて!
窪田
そうなのです。ここからしばらく「家具の間を埋めていく」という
作品を制作します(写真a、e)。
藤田
わっ、家具の間を埋める、ってこういうことなんですね。本当に埋まってますね!
窪田
ときどき、身体性に直接触れるような作品も作りながら(写真f、g)、基本的には家具の作品を中心に制作しました。
藤田
家具はどんな家具でもいいのですか。何かに触発されて、こういった家具を選んでいる理由があるのでしょうか。
窪田
少なくとも個人的な思い入れのある家具ではありません。ちょうどこの頃、レイチェル・ホワイトリードというイギリスの彫刻家が非常に注目されていて、学生だった私も多分影響を受けたと思いますが、彼女のように「家具が経験している時間を問題にする」というよりは、私はあくまで「家具=人体の置き換え」として捉えていて、よりその形態を見ていました。脚は足、肘掛けは腕といった具合に、人を埋めたら出来た彫刻という事に興味を持っていたと思います。
藤田
擬人化、みたいな意味が実はあるのですね。一番最初に私が見て記憶がある
作品
も、人間の心、何かしら気持ちが詰まってる部分だな、と思ったのですが、まんざら間違いじゃないのですね。いまさらですがうれしい。
窪田
心じゃなくて体ですが。でも、良かったです(笑)。
こうして間を埋めて塊にするという作品を作っているうちに、それをより一体化させたいという気持ちが湧いています。
藤田
一体化とは?
窪田
家具を石膏やセメントなどで埋めるということ、結果的に異素材のぶつかりだったわけです。少し細かい話になるけれど、形の上での素材の変わり目の処理に問題点を感じ始めていました。これらを、より混ざり合うものとして制作するには、同素材でさらに成形可能である事が必要でした。
藤田
素材に目が向いたのですね。
窪田
はい。木製の家具を合板で閉じるように埋めるものを制作します。二脚の木製の椅子を組んで、間を合板で閉じ、その後、椅子も合板部分と一緒に研磨して、同じ一つの面になるようにするというものです(写真h)。
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