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ギャラリーが「映像コンペティション」をする時代

1.ギャラリーで映像を見ることについての論


2.愛知・江南「+gallery」の場合


3.東京・京橋「art space kimura ASK?」



4.ジャンルと場所について(まとめ)



ギャラリーが「映像コンペティション」をする時代

TEXT 藤田千彩



1.ギャラリーで映像を見ることについての論


たしか今年5月頃、たまたま2ヶ所のギャラリーで「映像コンペティション」を行うというチラシを、私は目にした。「ギャラリーで映像?」といぶかしく感じたが、美術館ではもはや映像の展示がない現代美術の展覧会は珍しいほどである。逆にいえば多くの作家は映像を表現手段にしている。その背景には、コンピュータや映像機器が安く手に入ること、時間を掛けることもなく制作できること、出来た作品はDVDという形で世界どこでも簡単に運ばれ、DVDプレーヤーさえあれば見ることができること、などが挙げられるだろう。

そう考えると、ギャラリーで映像を見ることは、ほとんどない。ビジュアル的なもの全般を扱ったり、時々映像を展示するギャラリーはある。若手作家の紹介や、作品売買を目的にしたギャラリーという場所には映像は不向きなのだろうか?

しかしなぜ、いま「映像コンペティション」を行うのか。
今回、「映像コンペティション」を行った、東京・京橋の「art space kimura ASK?」と愛知・江南「+gallery」に、コンペティションを行った背景、ギャラリーで映像を扱い、上映することについて、直接話を伺ってみた。


「+VIDEO AWARDS 2005 のDMチラシ」
[+zoom]


2.愛知・江南「+gallery」の場合


名古屋から電車で20分ほど、江南市布袋にある「+gallery」は、平松伸之、高橋伸行、冨永佳秀の3人のアーティストが運営するスペースである。絵画、写真、映像などジャンルを問わず展示をしている。7月2日〜31日開催された「+VIDEO AWARDS 2005」というコンクールの上映会の話を中心に、運営メンバーである平松伸之さんに話を伺う。


「なぜギャラリーで映像コンクールなのか?」という私(藤田)の質問に、平松さんは「美術館や他の機関があまりやってくれないから」と答えてくれた。

今回の映像を上映する企画は、大阪のCASで行われた「CASアカデミーアワード」の企画を真似たものだそうだ。「CASアカデミーアワード」同様、コンペ形式で作品を集めることにした。こちら(見せる側)から探しにでかけて発掘するよりも、向こう(作り手)から送ってもらえたら探し出しやすいという考え方からである。

「気軽に紙にドローイングをするように映像を作って見せられる今、面白い作品がどんどん出てくるはず」と言う平松さん。コンピュータの普及、映像機器の廉価化、そういった技術革新だけでなく、テレビやゲームの影響など作り手の思考までも、映像は気軽な表現手段であろう。しかし作り手が発表する場、言い換えれば見る場所が圧倒的に不足している。

 こうしたアーティスト/観客双方の不満(悩み?)を踏まえ、+galleryは活動を行おうとしている。ジャンルや国というボーダーを意識しないで、自分たちの企画を他へ持っていき、他のスペースの企画を+galleryで行う。このゆるやかな思考のもとで、例えば今回の「+VIDEO AWARDS 2005」開催時も、スペースの2階では韓国のLOOPというスペースの企画である「韓国写真作家4人展」を行っていた。もちろん「+VIDEO AWARDS 2005」も、大阪CAS(現在開催中〜8月13日)とオランダのスペースで上映される。

「+VIDEO AWARDS 2005」レビューはこちら

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著者プロフィールや、近況など。

藤田千彩(ふじたちさい)

1974年岡山県生まれ。
大学卒業後、某通信会社に勤務、社内報などを手がける。
美学校トンチキアートクラス修了。
現在、「ぴあ」「週刊SPA!」などでアートに関する文章を執筆中。
http://chisai-web.hp.infoseek.co.jp/



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