ギャラリーが「映像コンペティション」をする時代
TEXT 藤田千彩
1.ギャラリーで映像を見ることについての論
たしか今年5月頃、たまたま2ヶ所のギャラリーで「映像コンペティション」を行うというチラシを、私は目にした。「ギャラリーで映像?」といぶかしく感じたが、美術館ではもはや映像の展示がない現代美術の展覧会は珍しいほどである。逆にいえば多くの作家は映像を表現手段にしている。その背景には、コンピュータや映像機器が安く手に入ること、時間を掛けることもなく制作できること、出来た作品はDVDという形で世界どこでも簡単に運ばれ、DVDプレーヤーさえあれば見ることができること、などが挙げられるだろう。
そう考えると、ギャラリーで映像を見ることは、ほとんどない。ビジュアル的なもの全般を扱ったり、時々映像を展示するギャラリーはある。若手作家の紹介や、作品売買を目的にしたギャラリーという場所には映像は不向きなのだろうか?
しかしなぜ、いま「映像コンペティション」を行うのか。
今回、「映像コンペティション」を行った、東京・京橋の「art
space kimura ASK?」と愛知・江南「+gallery」に、コンペティションを行った背景、ギャラリーで映像を扱い、上映することについて、直接話を伺ってみた。
|