topspecial[アートの近所〜スウェーデン Algarden]
アートの近所〜スウェーデン Algarden

池田朗子個展
souvenir
2007年9月8日(土)〜9月24日(月祝) 
11:00−20:00 火曜休館
CAP HOUSE海側ギャラリー
   
  展示会場、角度を変えると飛行機の背面が見える様になってる。

CAP HOUSEのプロジェクトは展覧会だけでなく、「アート林間学校」の様な、ワークショップや、ライブ等の音楽イベント、レクチャー、アートバザーなど様々だ。今回の私の展示と同時期に、入れ替わりで展示を続けている「Lesson」企画室の様に、CAPのメンバーがまたその中で個人的に立ち上げたプロジェクトを展開し、特別講義なども企画開催もしている。メンバーを構成している人達も様々で正会員として45人程(3000円/年)、また、サポートメンバーとして60人近く(個人会員、法人会員もある。詳細はwebで確認して下さい。)、また移住センターのため、船室と同様に並ぶ個室をアトリエとして利用するアーティストが十数名。(一ヶ月1万3000円を出し合ってプロジェクトを一緒に進めている。)それらの会費にて運営費をまかなっているとの事 。その他、C.A.P.のそれぞれの大きなプロジェクトの為には、それぞれが助成金申請等を行っている。

興味深いのは、「旧神戸移住センター」とC.A.P.と「CAP HOUSE」との関わり方だ。今回の展示の窓口になっていただいた、下田さんにお話を伺っている内に、C.A.P.は市からセンターの管理を依託されており、「CAP HOUSE」のプロジェクトには、文化事業としての依託は受けていないという事を知る。とても興味深い企画を活動的に一般にも開放しているのに「なぜだろう?」とクビを傾げたが、反対にその方が独自のプロジェクトを展開するのが容易だとの事。各企画に対する干渉が無く、お役所とのプロジェクトに起こりがちな「集客、収益」などの数字で企画を判断、決定されてしまう、という悲しい誤解による、摩擦が起こらない。お互いの利益を補い合った、ごく自然な関係だが、公共の場所とアーティストの関わりの例としては、国内ではきわめてまれな例だと、思われる。このところ、私の周りで目にした、お役所の都合で、急に追い出し受けたオルタナティブスペースなどに起きた問題は、こういうところのすれ違いも要因の一つかも?と頭をよぎった。

先ほど、ちらっと触れたのだが、CAP HOUSEの興味深い特徴にメンバーのアーティストのオープンスタジオがある。現在、4階まで利用されている3階、4階は、プロジェクトの柱として、作家がスタジオを構え、活動を公開している。平面、立体、陶芸、さまざまなジャンルの作家達が参加している。共同工房もあるためか、常に誰かしらが作業をしており、タイミングが良ければお話をしたり、作品を見せていただいたりする事もできる。また、私のように展示だけの為に、搬入や開廊中に時間を過ごしている作家との交流も生まれて、理想的なスペースだと、つくづく感心した。

今年度の3月末から、「旧神戸移住センター」は改装工事に入る。そのため、CAP HOUSEのプロジェクトは一旦、今年の12月でしまる。旧神戸移住センターの建物は1階、2階が移民ミュージアムになり、CAP HOUSEのプロジェクトは、2009年にリスタートしようと計画している。壁に絡まるツタや、少しはがれた壁。古い窓枠。そういったものが大変美しいので、残念である。
この記事の取材をしているときに、フランスから来たと言うアーティストが、「ココは、どんな場所なのか?」とタイムリーな質問をして来た。上記の事を、大まかに話したら、「今度の3月に、もう一度来ようと思っていたのに、残念。こういう場所が無いと、どこに行ったら直接アーティストと話が出来るのか?分からないし、困ってしまうのよ」と眉をしかめた。
「アートプロジェクト」と「場所」は、言うなれば、ソフトとハードだろう。ハードに依存する事無く、ソフトが魅力的で、それを遂行する力があれば、大きなお金や、他の組織に右往左往する必要がないのかもしれない。と思う事がある。しかしながら、実際の所、「場所」の許容できるモノは大きい。特に、「アートプロジェクト」の外に居る人にとって、「場所」の持つ雰囲気は糸口になり、「場所」に足を踏み入れる事で、アーティストやスタッフの存在や、魅力的なプロジェクトに出会う事が出来る。

CAP HOUSEのLiving room でくつろぎながら、C.A.P.の自らの目的を忘れる事無く、それをフルに表現できる「場所」と強かに関わろうとする姿勢が、穏やかな建物の空気を支えているんだなと、思った。

 




CAP cafê
コーヒーが美味しいです。休日には家族連れも。
 
 

CAP HOUSEの踊り場。
暗い時は何かが出てきそうですが、壁の塗装のはがれ具合が、絶妙で作品を見ているかのようです。
 
 
 

図書コーナー
ギャラリー横に本棚に囲まれたサロンがあります。書棚には、様々な展覧会の図版を初め雑誌、専門書が並んでいて閲覧が可能。

 


AP HOUSEの現在のイベント

CAPARTY no.28 Welcome to CAP HOUSE

「リビングルーム」
C.A.P.メンバーがプロデュースするちょっと特別な18のリビングルームの過ごし方

2007年10月12日(金)〜11月18日(日) 毎週末の金土日開催
場所:CAP HOUSE
   旧神戸移住センター 神戸市中央区山本通3丁目19-8

以下ゲストトーカー(敬称略/日程順)
市川ヨウヘイ(古本屋「メガネヤ」主人)/小山田徹(美術家)/トヨダヒトシ(写真家)/星川京児(音楽プロデューサー)/杉浦隆夫(美術家)/家次久仁子/中川真(サウンドスケープ研究者)/浅野耕平(メディアアーティスト) /小林範之(グラフィックデザイナー)/松岡環(アジア映画研究者)/nakaban(画家)/深川和美(ソプラノ歌手) /三木昭(3DCG、彫刻作家)/山口啓介(美術家)/宮田有香(内科画廊主宰ご息女)/新村和大(アーティスト)/中澤雅子(アーティスト)/西上翔平(アーティスト)/208南森町/佐久間新(ジャワ舞踊家)


ぜひお越し下さい。
お申し込みと詳細は
http://cap-kobe.com/house/info/livingroom/index.htm
にて。

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