女木島
女木島は高松港から一番近い島です。
昔話「ももたろう」にでてくる鬼ヶ島であったと伝えられている島で、島のあちこちに鬼の像が置かれています。

木村崇人《かもめの駐車場》
女木港に着くと見えてくるのが、姿勢よく並んだカモメたち。
木村崇人の《かもめの駐車場》です。
陽気に揺られるカモメの風見鶏は遠くの方までずらりと並んでいます。
港に着いた人々、またこれから出航する人々をじっと観察しているようです。
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禿鷹墳上《20世紀的回想》


サンジャ・サソ《鬼合戦、あるいは裸の桃の勝利》
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港からすぐにある芸術祭案内所の入り口から辺りを見回すと、広い空き地の上に一代のピアノが見えました。
禿鷹墳上の《20世紀的回想》です。
鉄でできたグランドピアノに船の帆が付いており、ピアノが一隻の船のようです。
近づくと小さな音でピアノ曲が流れているのがわかります。
まるで昔のことを思い出し、懐かしみながら、女木島を航海しているようです。
冒頭でも紹介しましたが、女木島は、古くから昔話「桃太郎」に出てくる鬼たちのすみか「鬼ヶ島」だったと言われているそうです。
その鬼たちが暮らしていたとされる洞窟があり、そこに作品展示もあるということで案内所からバスで直行。
バスは狭い山道をギリギリの感覚で登っていきます。
運転手さんはぐねぐね道も迷いなくアクセルを踏んでました。
さすがベテラン。
さて、山道を登りきると早速鬼たちがお出迎えです。
よく見るとあちこちに鬼の像があります。
赤色やら青色やら、角が2本のもの1本のものなど、鬼にもいろいろ個性があるんですね。
鬼たちに歓迎されながら、すみかであった洞窟にいざ潜入!
外では日差しが強く汗が吹き出るほどの暑さなのに、洞窟に入るととても涼しく、冷たい空気にどきっとさせられます。
ここにも外と同じように鬼の像が置かれ、「桃太郎」のストーリーを各所で紹介しています。
鬼が宴会をするシーンや決闘するシーンが再現されていましたが、あまりリアリティはありませんでした。
しかしそこでふとわきに目をやると、薄暗い道の真ん中にうっすらと人影が・・・。
よく見るとワイヤーで作成された彫刻作品です。
サンジャ・サソの《鬼合戦、あるいは裸の桃の勝利》です。
女性をかたどっているのですが、ワイヤーの細かい目によってうっすらと透けて見えます。
進んでいくと数カ所にこの人型作品があり、女性だけでなく男性を模したものもありました。
鬼のすみかとして伝えられたこの洞窟、その鬼とは実際は海賊だったそうです。
その海賊にさらわれ、苦しんで亡くなった人々の魂が、行き場をなくし今もさまよっている様子を表しているようです。
涼しい洞窟をでて次の作品、ロリフ・ユリアスの《緑の音楽》の場所に向かいます。
案内板にそって茂みの中に入ると、夏らしく蝉の鳴き声が聞こえます。
また、何かの鳴き声のような、もしくは誰かが囁いているような音も数種類同時にあちこちから聞こえてきます。
サウンドインスタレーションであるこの作品では、実態は見えないけれども、「緑」という抽象的なものが、実は日常で会話をしていたり、あるいは誰か語りかけていたりするのではないかという想像が膨らんできます。
港に戻り、行武治美の《均衡》を見に行きました。
外見は納屋ですが、中に入ると四角に切断された鏡がいくつも連なり壁を覆っています。
吹き抜けになっているので2階からも鑑賞することができます。
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