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タノタイガインタビュー


「たまにわ」の見開きページ

アートがないと嘆く前にアートがある仕組みをつくる
タノ
漢字で「霊庭」、ちょっとこわいんですけど、「それぞれの作家の世界観を一つの「庭(場所)」に集め、だれでもそっとのぞき込むことができること」を意味する言葉と、「たまにはアートでも」みたいな気持ちを重ねて付けたんです。倉庫兼サロン代わりに借りているアパートのある住所が霊屋下(おたまやした)という地名というのもあって。


藤田
あら、かわいい。ほどよい大きさで、気軽に読めますね。
これ、どこで配布しているんですか?

タノ
カフェとか病院とかですね。


藤田
見開きでタイトルと作品があるんですね。カラーだとお金掛かるでしょう?

タノ
カフェや病院がスポンサーになってくれていて、印刷費だけはトントンですね。
置いている場所も増えていて、しかも、今では県立図書館に「郷土文献」という扱いで蔵書されているんですよ。

藤田
すごいですね、おもしろいそれ。
持続するってことがまず大変でしょう?そして地方っていう部分もいろんなしがらみがあったりするでしょう?
タノ
そうですね。いろいろ文句を言ってくる人もいます。だけど「たまにわをうちの店に置きたい」「どこに行ったらたまにわを読めますか」などといううれしい反応も増えているのです。


藤田
地方の活動としては見習うべき媒体ですね。

タノ
僕としてはこの「たまにわ」的なものがそれぞれの土地や地域で展開したらいいなと思ってます。
そうしたら各地の「たまにわ」同士とか作品、作家の交流も生まれたりするでしょう?
そもそも美術館へ行ったり美術の本を買う人ってもとから美術に興味がある人。
でもフリーペーパーにすることで、美術に関心がなかった人たちにも美術に興味を持ってもらおうという意図があります。
と、同時に身近な地域に暮らす作家を知ってもらいスポンサーも地元の商店や個人など、自分たちが地域の文化を作っているという意識を持ってもらいたくって。
ローカルな場所だからできることってあると思うんです。
タノモデルシリーズ
左から「オリヂナル 〜彫刻戦士タイガ〜」
「オリヂナル 2 〜募金戦士タイガ〜」
「オリヂナル 3 〜流浪戦士タイガ〜」

地方にいながら現代美術界で生きていく


藤田
私の地元・岡山では、ガラスとか陶芸までも「アート」って呼ばれてるんですが、どう思いますか?

タノ
ものにもよるだろうけれど、アートというよりクラフトなんじゃないかな。


藤田
私もそう思うんです。その境目さえ分かってないのか、境目を作ろうとしないのか不明だけど、「アート」でも絵画と彫刻で見られ方が違ったりすることもあるでしょう?地方ということに関係しているとは限らないだろうけど、しがらみのある彫刻界、それって画壇みたいなやつをくぐりぬけて現代美術で活動している姿にも頭が下がります。
現代美術の敷居って入ると簡単ですが、それまで大変でしょう?
どうやって来たんですか?

タノ
来た・・・って!(笑)
いわゆる木彫の人体像を作っていたのですが、ちっちゃなサイズの木彫を作ってからかな?
例えば僕はこのフリーペーパーの中では、県内に住んでいる身近な知人や友人たちの木彫を作って載せています。この人どこかでみたことあるなぁ、という楽しみを持ってもらいたくって。


藤田
自分も作品にしてますよね?

タノ
そうですね。一番身近なもの、つまり自分を使って、プラモデルのようなパッケージで、彫刻キットをイメージさせる作品「オリヂナル〜彫刻戦士タイガ〜」とか。


「青空縁日2」展が開かれているせんだいメディアテークのミュージアムショップNAdiffでは、展示されているお面を販売。玩具メーカーの名前とロゴを真似て「SENDAI」と書いてある
藤田
あ、さっきNadiffで見た!

タノ
「オリヂナル」シリーズは今のところ3種類あって、商品的イメージだけでマルチプルのようにはしていなかったんですけれど、今回のお面「タノニマス」は僕の顔を買うなんて人がいたらバカバカしくて面白いかなーとおもって売ることにしてみました。僕を匿名(アノニマス)化するコンセプトですし。

藤田
私はグッズとして販売することより、先に仙台にはアートがないとおっしゃっていたのに、アートを身近にするという活動=「たまにわ」できちんと普及しようとする姿勢、そんな姿勢のほうが頭が下がります。

タノ
文句を言うことは誰でもできるんです。


藤田
そうですよね。仙台で現代美術というジャンルで制作していく大変さもあるでしょう?

タノ
僕のアンテナは仙台にとどまっていませんから、活動は日本どこでも世界のどこでもやれたらと思ってます。そのために、僕はいろんな情報を知って、いろんな人と交流していくことが大切だと思う。

藤田
今日は長い間、貴重なお話をありがとうございました。

タノ
こちらこそ!
 
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