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[前田さつきインタビュー]
前田さつきインタビュー
「刻印」、2008年、ボールペン・色鉛筆、112×145.5cm
「上手い絵」というのは、どういうものを意味するのだろう。
リアルなもの?線が均一で美しい?見たことがない世界が広がっているから?前田さつきの絵を見ていると、純粋な気持ちで「上手い」と言ってしまうのだが、その意味には果てしなく奥がある。私が「美の術」を求めてしまう限り、意味の多さにも気付かされてしまった。
「ボールペン」という
「画材」を使って
Satsuki Maeda Interview
「ファイル」と「実物」の違い
藤田
この間、作品ファイルを、前田さんが所属する、ここ「
ヨコイファインアート
」で見せてもらったんですね。他の作家サンと一緒になってて、さーっと見ちゃったんですね。
その後、別の日に来たときに実物を見せてもらって、、こんなに細かいんだ、ってファイルとだいぶ違うなあと思ったんです。伝わらない感じなのかなあと思って。
前田
あの細かい感じは、出ないってしょうがない感じです。
藤田
作品は全部大きいんですか?
前田
いや、そんなことないです。
最近ようやく大きくなってきたと思うんですけど。
ちょっとこれから大きいの描こうかなあ。(笑)
藤田
ファイルだとまず大きさも分からないし、細かいところまで分からない。
ファイルがファイルの意味を成してなくてショックだった。ファイルが小さすぎます。
ほんとに細かく描いてるとこまで、全然分からなくて、「惜しい」と思ったんです。
なんであんなに細かく描いちゃったんですか?
前田
もともとそういう作業自体が好きだなと思ったんですね。
大学受験のときから、細かいものを描くほうが向いてると思っていました。
藤田
それはいつ気付いたんですかね?細かいほうがいいと?
前田
もう大学受験のときには気付いてました。ここに22、3歳のときの作品があるんですけど・・・。
藤田
上手いのはずーっと上手いんですね。鍛練だけじゃないんですね。
「Welcome」、1999年、ボールペン・アクリル絵の具、14.8×10.5cm
「untitled」(花と靴)、2006年、ボールペン・色鉛筆、35×25cm
ボールペンを画材として使うこと
藤田
受験の時とかって、ちょこちょこ描く分にはいいかもしれないけど、ボールペンとかっていう画材が使えないじゃないですか。
前田
そのときはまだボールペンとか使ってなくて、受験するなら鉛筆とフェルトペン、油彩画か日本画かくらいしかわかってなかったんで、とにかく受かればいいと思ってたんであんまり気にしてなかった。
版画科に入って、リトグラフと木版と銅版をやって、銅版のエッチングをやったときに、ああやっぱりこの感覚楽しすぎると思いましたね。
藤田
通じますね、かなり。
前田
そうなんですけど、早いうちに版画の作業、制作のプロセスがとても嫌だと思いました。
転写されていくものが作品になる、ということが自分から遠いと感じて、制作っていうより労働な感じがしたんです。だけどああいう黒くて細い線が欲しくて、描けるものはないかなあって、大学を卒業してから探しまして。鉛筆だとエッジが弱いし、発色も弱い。
水性ペンだと細く出るんですが、飛んじゃうかもしれないし、ちょっと水がついたらにじんだり。アクリル絵具や水彩絵具で着彩することができないからNGで、フェルトペンで描いたこともあるんですけど、にじみが出てエッジが出ないからダメで。
あとマンガ家さんの丸ペンとかGペンも使って、割にいいんですけど、たまに墨汁がパタンって付くんですよ、とんでもないハプニングが起きるのでだめだった。油性ボールペンにしたら割によくて、ちょっとぎらぎらする感じもいいかなあ、って使ってます。
藤田
使ってるメーカーとか型番とかあるんですか?
前田
UNIの、今は名称変わっちゃったみたいですけど、細いの。0.5ってなってますね、表示は。
藤田
もっと細いかと思った。
いまもっと細いのあるじゃないですか。
前田
気にも留めてなかった。
藤田
私もボールペン使うんですけど、ダマになりません?
前田
まめにティッシュで拭いてたりします。勢いよく荒々しく描くと、ダマは出やすいですね。
最近、アトリエも借りたばっかりなんですけど、油絵とか日本画とか絵具とか必要な他の人と違って、私は1本 でいいんです。
藤田
ライターみたいじゃないですか(笑)。
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前田さつき(まえださつき)
1976
神奈川生まれ
1999
多摩美術大学美術学部絵画科版画専攻卒業
個展
2001
「DEEP DELUSION -fly out-」(DESIGN・FESTA・GALLERY F room, 東京ビッグサイト / 東京)
2005
「YURIKO」(DESIGN・FESTA・GALLERY G room, 東京ビッグサイト / 東京)
グループ展
2003
FIELD OF NOW 2003「形象改革」展(洋協アートホール / 東京)
2007
アートフェア東京 (東京国際フォーラム/東京)
YOKOI FINE ARTオープニング展 『挑戦』 (YOKOI FINE ART / 東京)
「phantasia」(Bunkamura Gallery / 東京)
ART BEIJING 2007 (National Agricultural Exhibition Center / 北京)
東京コンテンポラリーアートフェア(東京美術倶楽部 / 東京)
2008
bridge Art Fair new york’08 (The Waterfront / NY USA)
前田さつきさん
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