(c.) Osamu Kokufu
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(c.) Osamu
Kokufu 撮影:大場美和 |
友利
国立新美術館の野村仁展に出品されていた車ですよね。
國府
あの形に行き着くまでには、かなりの試行錯誤がありました。
兵庫県三田市の朝日ソーラーカーラリーへの参加から始まって、鈴鹿の8時間耐久レースにも確か四回参加しました。
最初はコンセプトを重視したマシンづくりをしていたのです。
デザインも当時の主流だったゴキブリのような姿が嫌で、ステルス戦闘機をイメージした形にしました。
でも、そうやって周囲の注目を集めておきながら、一回目の鈴鹿では2〜3周でリタイヤになってしまって(笑)。
それで、美術的なコンセプトだけでは済まない、機能として成り立たせないと駄目だと考えるようになりました。
友利
最初から上手くいったわけではないのですね。
國府
始めた頃は空気抵抗とかエネルギー効率とか全然考えていませんでしたから。
そうした経験から、合理的な乗り物としての機能の必要性を痛感しました。
ちょうど自分の作品としても《Electric Tricycle》など機能を持った乗り物を制作していた頃です。
当時の僕は「設計思想」という言葉をよく使っていましたし、そのことは現在でもよく考えています。
目的に応じた設計のための判断軸のような意味ですが。