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本間純インタビュー



ブリーズ - 4本の旗  breeze - 4 flags 2007
プラスティック、鉄に塗装plastic,steel,painted
Gallery CAPTION  2007 photo - studio-dot

イマジネーションが飛び交う空間をつくりたい


藤田
場所って、制作する側からすると意識を取られてしまうものですか?

本間
いや、そこの場所から100%発想するわけじゃないですね。
自分が気になっていることとか、日ごろから考えていることとか、表現したいこととか、そういったことが場所やシチュエーションとぴたっと合致するときに、作品になりますね。


藤田
ギャラリースペースでも、同じ考え方で発表しているのですか?

本間
そうですね。
それに、「AOBA+ART」や「越後妻有トリエンナーレ」のようなプロジェクトだけでは僕の作品はだめで、その時自分に必要な実験はアトリエでして、ギャラリーでも発表して、ある意味泥くさくものをつくっていくべきだと思ってます。


藤田
じゃあ、ギャラリーで展示する意味ってなんですか?
カテゴライズするつもりはないですが、世のアーティストたちは「プロジェクト系の作家」とか「ホワイトキューブ向けの作家」とか分かれてると思うんですよ。
そこで本間さんは両方にまたがっている、と鑑賞者の私は思うのですが、つくり手としては何か意識して制作や発表をしているのですか?

本間
ギャラリーでする、しない、というこだわりではないです。ただ、作品を違うシチュエーションで発表することによって、見てくれる人そのものや、意識や目的が違ってくるのも面白いと思っています。
だから、プロジェクトにしか参加しない、とか、ギャラリーでしかしない、とか、そういうこだわりはないですね。
僕にとって大事なことは、作品を設置する場所ではなく、その場所を最大限利用して、どう表現していくか、ということです。


  ブリーズ - 4本の旗  breeze - 4 flags 2007 プラスティック、鉄に塗装plastic,steel,painted Gallery CAPTION  2007 photo - studio-dot

  horizon 木、塗装 Wood , Painted 3000×900×H.2700 Gallery Gen 2005 photo - S. Anzai
 
  ブリーズ - ダブルステートメンツ breeze - double statements 旗、送風機、鉄に塗装 flags, fan, steel,painted - 1300×550×H.2250mm HAPPY HOURS/Zaim underground 2007 photo - J.H

 
  「森」grove 使い古しの鉛筆、木、耐雪ガレージ、ガラス Pencil-stubs,Wood,Garage,Glass 2500×5000×H. 3000mm 
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2000 photo - J.H

 
  「Melting Wall」水、ガラス、鉄、プールWater, Glass, Steel, Pool3100×3100×H.4000mm  プール - 5m×20m
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2003 photo-S.Anzai

 
  「しずく」Drops  水、アルミ、木、FRP、Water, Alminium, wood, FRP プール - 4900×3150×H.300mm
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2006 photo - J.H

藤田
両方やってても、違和感はないってことですか?

本間
ないですね。


藤田
地域のプロジェクトだと、キュレーターやディレクターからの依頼があるだろうし、さっきおっしゃった地元の人との協働作業も、OKってことですか?

本間
そう、OKですね。
どっちがいいとかではなく、どの状況でも作品をつくることが楽しいんです。


藤田
そういう両方出来ちゃう作家って、あまりいないから本間さんって貴重かも。

本間
自分としては別に決めたくないし、縛られたくない。
作品って多様だと思うんですよ。
ギャラリーの中だけで成立するもの、マーケットを重視するものもアリだろうけど、僕はいろんな野外展を見たり、自分が参加したことで、作品にいろんな可能性がある、と思っているんです。
裾野を広げる、というのかな。
美術の知識や経験のない人とも、つながったり役立ったりすることを考えることが、自分の作品の新しいありかたや可能性のひとつなのではないでしょうか。


藤田
裾野を広げる、ということを作家が感じているなんてびっくりです。
とはいえ、最初に言ったように、日本各地で行われた150だか160だかのアートイベントとかアートプロジェクトが、なにをもって成功したとかよかったと言うのか価値判断がわかりませんが、あるいは、みんなが「エコ、エコ」と言ってるような流行語のように「アート」という言葉を使うことで、「町おこし」をしているのかもしれない、と私は思ってるんですよ。
本間さんは作家として、そういう安易な言葉の使い方ってどう思います?

本間
確かにいろんなプロジェクトがありますよね。
なんでもかんでも「アート」って使いがちだけれども、やっぱり「作品の力」が重要ですよ。
作品を見る人は「楽しい」とか「元気になった」とか自由に思ってもらって良いですが、僕は「新しい作品のあり方をつくる」という意識でつくってますね。


藤田
本間さんが考える「クオリティ」ってなんですか?
例えば越後妻有での本間さんの作品って、いつも辺ぴな場所にあって、そのためだけに車を走らせて行かなくてはいけない。
でも「行ってよかった」って、いつも思うんです。
鑑賞者に「行ってよかった」と思わせる「クオリティ」ってあると思うんです。

本間
そう言われるとうれしいですね。
僕自身はギャラリーでも外でやるときでも、インスタレーション作品としてその場所に行ってイマジネーションを喚起してしまうような空間、いろんな人のイマジネーションが飛び交う空間、そういったものをつくりたいと思っています。
どういう反応があったらいいかというのはないし、場所によって表現が違ってくるのだけれど。


藤田
ああ、これまで作品を見ていたらそういうことを感じてしまいますよね。

本間
その考えで行くと、ホワイトキューブであろうが、外であろうが、もちろん出来ないところもあるんだけれど、作品をつくる可能性はあるわけです。


藤田
場所には左右されない共通的な感覚、つまり、私は「ホワイトキューブで見たときの感想」と「外で見たときの感想」と違うもの、違う意識、受ける印象が違うものだと思ってたんです。
だからつくり手も、「ホワイトキューブ向けの作品」と「外向けの作品」みたいに、違う意識でつくってるのだと思い込んでいました。

本間
僕としては「見せ方が違う」というだけなんじゃないかな。
なぜなら、でも、究極を言うと、見る人の時間を止めたいという部分では同じだから。


藤田
そしたら、作品はどうやってつくっていくんですか?

本間
日々考えているアイデアを場所や状況と結びつけて、作品をつくります。


藤田
アイデアと場所は、カチッと結びつくのですか?

本間
だいたい結びつきますね。


藤田
なるほどね。

本間
あと黄金町だと「僕じゃないとこういうのをつくれない」という意識だったり、越後妻有は遠い場所なので「何がなんでも人に来てもらわなきゃ」という意識で作品をつくりました(笑)。


藤田
あはは(笑)、たしかに、実際そういう作品ですしね。
今日はいろいろありがとうございました。
私が普段抱えていた疑問も解けたかな、と思います。
次にどこで本間さんの作品に会えるんだろ?ちょっとわくわくしますね。
 
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