toppeople[本間純インタビュー]
本間純インタビュー


 
  黄金町バザールで橋の下に吊るされた作品の一部は、2009年2月20日(日)〜3月31日(日)、黄金町バザールコミュニティーでの個展でもマルチプル作品と一緒に展示された。

黄金町バザールの場合

藤田
そういった場所には住んでたりするのですか?通いですか?

本間
それぞれですね。
黄金町バザールの場合は、アトリエ(横浜市青葉区)でつくって、黄金町に掛かっている旭橋に持って行き、現場で設置しました。


藤田
作品内容については、いつ、どうやって考えるんですか?

本間
黄金町バザールの場合は、ディレクターの山野真悟さんと話をしていて、日ノ出町と黄金町を並行して流れている「大岡川」がすごく気になったんです。
これまで水という要素を取り入れた作品をいくつかつくっていたこともあり、黄金町でも川をからめて何かやりたいと直感しました。
さまざまな建築の形をした旗のような作品を、橋の下から吊るそうと考えたんです。
見ただけだと、橋と水面が近かったので、なんとか展示できるなと思った。
これまでの作品でも、発想は単純だけど、実際の制作や展示作業が大変、ということがよくあって(笑)。
この黄金町のときも、実際の作業をやってみたらすごい大変なことはわかったんです。
そのとき幸運にも住民で船のスペシャリストの方を紹介していただき、全面的に恊働してもらえることになりました。

藤田
えー!

本間
海が近いせいか、干満の差が激しくて、1.5mから2mくらいの高低差があったんです。
協力者の方が出してくれた船に乗って作業するんですが、背伸びしてぎりぎり橋に手が届くくらいの状態。
いざ橋の下に作品を取りつけようとすると、川の流れが早くてびっくりしました。
結局、3人のボランティアさんが船に乗って、1人が設置の作業、あとの2人で船が流されないようにぴたっと支えて止めておく、という作業だったんです。


藤田
ええええ!!!

本間
それが出来るのが、満潮で、かつ、明るいときしかできない。
しかも船を出してくれる協力者の人と僕のスケジュールが合うときしかできない。
だから月に何回かしかできない、という(笑)。


藤田
すごいですね。

本間
いつもはスケジュール帳を見ながら調整するんだけど、この黄金町バザールの設置のときは、まずは潮見表(笑)。
潮見表見ながら、今日は満潮が何時だっけみたいな、漁師のようなスケジュール調整をしてましたよ。
「今日は12時から3時までいける」という感じで、けっこうハードでした。


藤田
いまここ(バザール・コミュニティー)で展示しているものが、橋の下に吊っていたものですね?

 
「そして川は流れる」And the river flows 旭橋、テント生 地 黄金町バザール 2008  photo-S.Anzai 


本間
はい、その一部です。
これは全部テント地で出来ているんです。


藤田
なんでテント地なんですか?

本間
この町では、テント地に文字を書いて、違法風俗店の看板として使ってたんですよ。
同じ素材をつかって、全く違うものをつくろうと思ったんですね。


藤田
どうやってその話を知ったんですか?

本間
今でも町を歩けばそういった場所も残っているので。ときどき「純」っていう看板もあったりするんだけどね(笑)。


藤田
そうなんですか!気づかなかった!!

本間
まだ他にもこの作品には意味があって。
この町には40、50ヶ国くらいの外国人が働いているんです。
川は海とつながっていて、そういった外国人の往来の動きを感じさせる。
陸上を歩いていると少ししか見えないけど、横浜トリエンナーレの定期船に乗り、橋をくぐる時に初めて作品の全体像が見えるようにと考えました。
こういった、視点によってぜんぜん違うものとして、作品の印象の違いを楽しんでもらいたかった。

 
前のページへ 1234 次のページへ

 



 

topnewsreviewscolumnspeoplespecialarchivewhat's PEELERwritersnewslettermail

Copyright (C) PEELER. All Rights Reserved.