topspecial[ヤドカリフジカワの答えは家(イエ)〜ス!]
ヤドカリフジカワの答えは家(イエ)〜ス!
 
第1回
「壊される家」

「今、どこに住んでるの?」とよく聞かれる。

私・フジカワハルカは「ヤドカリ(宿借り)」である。
「他人様の家を泊まり歩き、研究し、記録する」
という活動を続けている。

もちろん自分の家もある。
今は 壊される家に住んでいる。
(壊れそうな家でもあるけど、、。)

壊すまで住んでいいよ。
1月末までは保証するよ。

と知り合いの建築家夫婦にいわれ、
昨年12月から住んでいるのが東京の繁華街(?)渋谷から徒歩10分という
いわゆる東京の一等地に残されたままの古い家。

ここは知りあいの建築家夫婦が新居を構えようとしている
土地なのでのっかてた家はいらないらしい。

面識もない家族が住んでいたという一軒家に住まわせてもらうことになった。
私が人の家をよく泊まり歩く「ヤドカリ」であること、
前住んでいた家を出たがっていたこと
荷物が少ないから移動が簡単という理由からだろうと思う。

住み始めたとたんに周りには
「もうすぐ家がなくなるから、もうすぐなくなる。」
と大変なふりをして言い続けて、もう半年が経ってしまった。
(どうやら新居の設計が難航しているらしい。)

家がなくなると心配がってくれていた人も
さすがに反応がにぶくなってきた。。。

私はすぐ「我が家」という言葉を使う。
ある日、何気ない会話をしていて私が発した
「我が家」という言葉に友達が驚いた。
「それってもうお前の家なのか?」と。

この家、私の家ではないのかな?
家賃を払っていないからかな?

それだったらやっぱり「ヤドカリ」だ。
いろんな家を「ヤドカリ」してきた私だけど
初めてこんなにおっきな2階建ての家を一人でヤドカリしている。

いつのまにかこの家にいることに慣れてしまって
いろいろな事を忘れかけている。
家は長くいると記憶喪失になる。

そんな失ってしまう感覚や記憶を
ちゃんととどめておかなければ。




第1回本文へ
 

topnewsreviewscolumnspeoplespecialarchivewhat's PEELERwritersnewslettermail

Copyright (C) 2005 PEELER. All Rights Reserved.