やってる以上、有名にならんと面白くない
池澤
スペースのスタンスとしては企画ギャラリーですか?
安部
企画とレンタルを半々くらいでやっていければと考えています。企画の場合は、なぜそれを企画でやるのか、テトラでやる意義は何なのか、クオリティ、意気込み、作品の内容など、妥協しないレベルにもっていくために運営メンバーでかなり話し合います。
池澤
音楽系のイベントをけっこう頻繁にやってますよね。
安部
“moan ward”(※1)や“one against”(※2)などの音楽イベントをやっています。アングラなジャンルかと思いきや、案外人が来るな〜って(笑)。webや口コミで知名度が上がってきてて、テトラを拠点として情報が発信できていることを実感します。
(※1)moan ward/隔月開催のライブイベント。実験音楽、即興、ノイズといった音楽を取り上げ、福岡近辺の若手音楽家を中心に紹介している。
(※2)one against series/art space tetraにて2004年6月12日にはじまったイベントシリーズである。その基本コンセプトは、アーティストとミュージシャンが同じ時間・同じ場所に出演することにある。観客は限られた時間のなか、演奏とアートワークを同時に目の当たりにする。その後、完成された作品はart
space tetraにて展示される。このシリーズの目的は、芸術作品と音楽演奏のアクチャルな制作・遂行を公表することにある。
池澤
2年間やってきて、大変だったことはありますか?
安部
運営メンバーはみんな他に仕事をしているから、どうしても責任が分散しがちです。
誰が店番するか、とか(笑)。
あと、やはり場所を維持するためには物理的にやることが多いので大変です。お金かかるけど、そこが強みでもあります。場所があって、そこから情報を流すことができるのは大きいです。
池澤
大きなムーブメントを生み出すために、拠点として機能しているんですね。
安部
他の人と何かをやるのが面白いし、大きな美術の流れは一人ではつくれません。同じ時代に生きている人が、何人かで固まって面白いことをやっている状態にしたいです。福岡にはけっこう美術系の学校があるのに卒業して外に行く人が多いけ
ど、福岡で一緒に盛り上がっていきたいし、「2000年代にこういう人が福岡におった!!」と言わせたいです。そういう盛り上がりを確立して有名にしたいし、やってる以上、有名にならんと面白くないと思います。
池澤
今後のテトラはどうなっていきますか?
安部
もっとお客さんにやさしいスペースを目指します。もっとくつろげるように、ちょっとずつ変えていきたいです。現在は改装中で、4月29・30日の上映イベント「LUC
FERRARI ある抽象的リアリストの肖像」からリニューアルオープンします。
新しいスタッフ10名をむかえ、5月以降はテトラ2階スペースでもいろんな小イベントをやっていこうと計画しています。また今後は新人アーティストの発掘にも力を入れていきたいです。
池澤
どんな風に変わっていくのか、とても楽しみです。今日はありがとうございました。
著者プロフィールや、近況など。
池澤廣和(いけざわひろかず)
1981年福井県生まれ
三菱地所アルティアムのディレクター。
インディペンデントでもアートイベントの企画に携わっている。 |
|