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harappa通信

NPO法人harappaと、なみおか映画祭



harappaができるまで


なみおか映画祭とは?


[harappaができるまで]

――そこでいよいよharappaが生まれるわけですね。

三上:「奈良美智展 弘前」立ち上げの際、一応規約を作りました。出資金ですが、まあ、これは戻ってこないだろう。しかし、万が一にも戻ってきて、さらに儲けが出たらどうしようと考え、もしそんなことがあったら、自分たちで山分けするのは絶対やめよう、その剰余金は「奈良美智展 弘前」と同じ趣旨の活動に使おう、そういう規約にしたのです。

――それがまんまとあたった。

三上:千万円単位の黒字が出てしまいました。これはもうアートNPO法人を作るしかない、と思いました。定款の目的というのがすごいというかへんてこなんです。「この法人は心の原風景である煉瓦倉庫を拠点としつつ、ここに留まることなく、しなやかな心と体を駆使してアートの豊かな世界を創出し、広く市民と共にそのアートの放つ豊かな世界観を享受することを目的とする。」というのです。NPO法人の認証を受けるため青森県とずいぶんやりとりを重ねましたが、県の担当者はこんなよくわからぬ文学的表現の目的はいかがなものか、とずいぶんとまどわれたようです。

――harappaという名称も相当へんてこですね。

三上:青森県立美術館が来年には出来上がりますが、その美術館の設計者である青木淳氏の論文に「原っぱと遊園地」というのがあります。私たちはこの論文に非常に刺激を受けました。つまり、人工的に作られた遊園地ではなく、「原っぱ」において、自由に遊び、行動し、思いっきりアートの世界に浸りたい。「奈良美智展 弘前」が開催された煉瓦倉庫は、私たちが思い描く「原っぱ」の原風景であり、砦だったのですね。

――問題は、今後のharappaの活動だと思いますが。

三上:そのとおりです。実は来年の4月16日から、再び吉井酒造煉瓦倉庫において「奈良美智 From the Depth of My Drawer 」展を開催する予定で、現在着々と準備作業が行われています。それに、一昨年の「奈良美智展 弘前」における感動を単なる過去の思い出とするのではなく、明日に向けての躍動の契機とするために、写真集「NARA YOSHITOMO HIROSAKI」を発刊しました。展覧会のサインデザインを担当した古平正義さんがそれこそ侠気(おとこぎ)を出してアートディレクションした掛け値なしに素晴らしい写真集です。3500円。一般の本屋さんでは売っていません。harappaのホームページ(http://www.harappa-h.org/)から注文してください。

――お聞きする限り、harappaの活動はすべて奈良美智関連のように思えるのですが。

三上:そんなことはありません。才能はあるのだけれど、発表の場所やお金がないという若いアーティストを支援するためのプログラムや、子供たちにアートの楽しさを思いっきり味わってもらうワークショッププログラムも行っています。前者は、大きなタブローを描きたいんだけれどその場所がないという熊谷晃太君のために、それならharappaの事務所(space harappa)を貸すからそこで公開製作をやったらどうかということになり、そこで制作した作品をもとに、「熊谷晃太個展 Seelen Frieden」を12月22日から26日までギャラリーデネガにて開催します。
 後者は、もう2年続けたのですが、『The picture is on the move 2004 僕らの絵がうごき出す』と題し、バス会社とタイアップして、バスの車体に子供たちに絵を描いてもらった。1台目は「原っぱの動物たち」、2台目は「海に泳ぐ魚たち」。今でも弘前市内をこの2台のバスが走っています。

――どれも楽しそうな企画ですが、あんまりペイしそうもないですね。

三上:非営利特定法人ですから利潤を追求するために活動するつもりはありません。しかし、活動を継続していくためには助成金や補助金だけではなく、ある程度確実な収入を得る必要があることはたしかです。

――そのための方策は?

三上:harappaらしいグッズを仕入れて、小さなショップを開店し、そこに行くとキラリと光る品物や話題や情報が待っている、そんなコーナーを街角に作る予定です。

――いつ頃ですか。

三上:できれば来年(2005年)早々にオープンしたいと考えています。それと、なんといっても映写スペースですね。映画館といってしまうとちょっと大げさなので、映写スペースとあえて言いますが、そういうスペースがほしいですねえ。

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