〜吉光たけひろの言葉〜
『消滅の快感・抵抗』をキーワードに制作している。絵を描き始めるとき私の目の前には真っ白な(何も描かれていない)平面がある。そして同時に頭の中にも『真っ白な平面』が現れる。美しく、寛容で、強い。そして空しく、絶望的で、儚い。このような『真っ白な平面』が亡霊のようにいつも私に付きまとっているのだ。キャンバスをただ木枠に張っただけの『美しい絵』を展示すればどんなに楽なことであろう…憧れだ!しかし私の感覚はすぐにそんな自分に疑問を抱いてしまう、『何の実りもないんじゃないの…?』、『何か形を残すべきなんじゃないの…?』と。私にとって自分を疑うことは、自分を『あるべき場所』へ導くためのシステムのようだ。しかしそれでもこの『亡霊』に憧れてしまうのである…何故!?このような私の不器用な感覚は絵にもあらわれているように思える。私にとって平面表現は『最期の意志発生の場』になっているようだ。酔えない…『真っ白な平面』という名の『虚無』や『抱擁』に私は酔えないのだ。そこにはいつも自分を疑い客観視する自分がいるのである。
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