今年もつむじ風がやってきて、広場じゅうの小石や砂をまき上げて引っかき回し、セリア達の膝小僧を磨りガラスのように真っ白にしていった。 毎年この季節になると、自転車に乗った郵便局員は横っ飛びに飛ばされて、あちこちの土手を転げ落ち、家々の洗濯物は竿ごと吹き飛んでとなりの庭へ。玄関先でいくらほうきを振りまわしても、砂ぼこりが文明生活を浸食してくるのをくい止めることはできなかった。 小川良子 思いつきで書いた断片的な小説より