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[その形容詞を待ちわびる−小川良子]
バスの窓から市民センターのフェンスが見えた。木の枝がフェンスの 網目を呑みこみながら強引に外へ伸びていたが、本体の樹木はどこにも なかった。
まるで切り落とされた腕だった。何本もの黒い腕が空に向かって伸び ていた。所在なげに西日をあびて宙に浮かんでいた。
小川良子 思いつきで書いた断片的な小説より
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