top\special[その形容詞を待ちわびる−小川良子]
 目を覚ますと窓の外にはクレーン車のワイヤーが垂れていて、向かいの大型レストランの四角いネオンサインが駐車場の植え込みのそばに場違いな大きさで居すわっていた。もとは右側にあったが、午後になって再び高い柱の上へ取り付けられたときには、駐車ゲートの左側に立っていた。この奇妙な工事の目的がいったい何なのか、考えてもジェーンにはわからなかった。
 それからいつもの椅子に腰を下ろして一息つくと、部屋の窓いっぱいに巨大な赤いネオンサインがゆっくり回転していた。それはもう景色とは呼べなかった。


小川良子 思いつきで書いた断片的な小説より

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