東京から鈍行で約2時間、群馬の高崎という町に行ってみた。
おしゃれできれいな駅ビルを抜け、そのまままっすぐ歩くと見えるタワーマンションの中に、高崎市タワー美術館がある。
この美術館のことは知っていたけれど、初めて行く。
今回は、私と同世代の、つまり30代から40代の男性日本画家4人の展覧会だった。
主に日本画を収蔵・展示をするという美術館方針に心ひかれながら、「平面」とくくってしまう現代美術界のモノの見方で、私は作品と向き合った。
I went to "Nihon-ga" exhibition that joined four painters.
These artists were born in around 1975 and they are all male.
福井江太郎《阿T》 2003 雲肌麻紙/墨・岩絵具・木炭・蜜蝋 パネル 243.0×630.0cm 文化庁蔵 |
最初に置かれているのは、ダチョウを描くことで知られる福井江太郎の作品である。
ショウケースからダチョウが飛び出てきそうである。
作品と向き合うとき、見上げるようになるため、自然と背筋が伸びる。
聞いたことがないけどダチョウの鳴き声がするようだし、実際にこんなに群れでいたらこわいだろう。
止まっていない、動きがある絵が並んでいるのに、私は引っ掛かるように足を止めてしまう。
Kotaro Fukui is pursued the painting the oustrich and flowers.
He paints them livery.
I stopped these pictures although it look like jumping and making a sound them. Why?
加藤丈史《帆》 2009 雲肌麻紙/岩絵具・胡粉・墨・銀箔 額 192.0×238.0cm 作家蔵 |
加藤丈史の作品を見ていたら「静寂」という言葉を思い出した。
静かでさびしげ、と文字では書くけれど、しーんとしているわけではなく、小さな音がする。
水面は少しだけど動いていて、見ていてもあきない景色。
そういう感じの画面は、慌ただしい日常でけがれた心を洗い落としてくれる。
まぶしくて目を細めてしまったり、大きな湖の淵から足を引いてしまうような。
まるで目の前に本当の景色があるように、私はそんな立ちふるまいをしていることにはっと気づく。
Takeshi Kato's paintings reminds me to be quiet.
It means a little sound and a slight movement of the river.
In front of these pictures, the river or the lake appeared there.
岩田壮平《HANAノ図》 2010 絹本(金地)/岩絵具 六曲一隻 168.0×372.0cm 作家蔵 9/10-10/30展示 |
日本画は淡い色、と思いこんでいた私に、岩田壮平の「赤」は目にしみた。
色が人の気持ちにプラスやマイナスの効果を生むことは知っていたけれど、赤がこんなに「元気?」と声を掛けてくれるものとは。
色だけではない。
花束を抱えた男性のように、描かれたシチュエーションはとても現代的だったことにも、びっくりした。
絵を見て「ドキドキ」していた私に、隣にいたおじさんが「赤いですね」と話しかけて来た。
性別や年齢も超えて、強いインパクトが与えられる作品はそうそうない。
Sohei Iwata uses "red" color that I was surprised it cheerful.
Iwata portrayed a man with a bouquet of flowers on canvas and attested to affinity.
The stranger came toward me. He talked me "it's a red flowers", to be sure.
神戸智行《僕のいる場所》 2011 雲肌麻紙・典具帖紙/岩絵具・箔 パネル/18面 作家蔵 |
神戸智行は今回、屏風作品と絵画インスタレーションの展示であった。
丁寧な塗りと優しい色調は、心から「きれい」とつぶやきたくなるほどだ。
新作となった《僕のいる場所》は、小さな円形の画面に川でカニや小魚が遊んでいる光景を描いている。
私は上からそれを覗きこんだ、水がはねたかもしれない。
白い砂利もあしらわれて、この空間だけせせらぎのある水場に感じる。
入り込むことができるというインスタレーションの楽しみは、なにも映像作品だけの特権ではない。
動かない絵画表現だからこそ、自分の時間軸で味わうことが出来る、と私は思った。
Tomoyuki Kambe attempted to put on the Byou-bu and the Nihon-ga picture
installation.
There were polite painting and soft color tone, I said "it's beautiful".
With white stones that can make an obvious installation.
いまさら日本画家であることを証明する必要はない。
それを意識したのは、普段つかっている筆や墨、箔といった画材が並べられたショウケースがあったことくらいである。
彼らが30代から40代であることも、全員男性であることも、別に理由はないと思った。
I don't know them as "Nihon-ga" painters.
I don't know them that they were born in around 1970 and they are all male.
むしろ彼らの作品は、現代美術の現場(アートシーン)にすばらしい提言をしている。
近年の、特に絵画作品では、その「きれい」が「ない」と私は感じてきた。
目の前に出された料理を「おいしいね」と食べるように、目の前にある作品を「きれいだね」と言えることを忘れていないだろうか。
年齢であったり、画材であったり、表現形態であったり、が重要視されていて、美術本来の魅力である「きれい」と言わせる技を忘れていないだろうか。
美術は「きれい」なものであり、それによって人の心を動かすものなのだと改めて教えてくれた展覧会であった。
This exhibition has the other point. Recent Japanese art is "Kawaii" rather than "Kirei (beautiful)".
"Kirei" is important. Do you remember "Kirei"?