野外彫刻のつくりかた
TEXT 藤田千彩
大川という川を臨む大阪のアートコートギャラリー。
隣接する帝国ホテルなどのビルからギャラリーへ向かう「彫刻の小経(こみち)」を彩る野外彫刻が、3月22日、23日に撤収・設置を行なった。
この野外彫刻の作品および作家は、フリーランスのキュレーター藤井匡のコンセプトにより、セレクトされている。
私なりにそのコンセプトを説明するとしたら、
「既に設置されている台座の大きさ=人体像を置くためのサイズ(縦横80cm(台座内側の設置部分は各75cm)×高さ1m)という規定のなかで、本来置かれることを意識したであろう人体像を展示するとしたら、あなた(指定された作家)ならどうする?」
ということだと思う。
そんなお題で展示される作品とは?
わくわくしながら現地に行ってみると、まだ搬入作業中だった・・・。
これまでいろいろな「現場」を見てきたが、野外彫刻の搬入を見たことがなかった。
その作業の様子がとても興味深かったので、レポートしたい。
この作品は、木村太陽の《無題》。
キュレーター藤井のテーマを反すうさせながら、ねずみ捕りと鳥の巣箱が組み合わさった作品の意味を考える。
うーん、、、分からない。
でも「もしこの巣箱に鳥が入っていたら」と、ほのぼのした光景を思い描くこともできる。
逆に、屋外だから「死んだドブネズミが引っかかっていたら」と、気持ち悪い状況も想像してしまう。
その横で、設置業者のおじさんが「巣箱のふたは開けておくの?」「左右はこの位置でいいのか?」と、現場ならではの会話を交わしていた。
そして向かい側では、植松琢麿の作品の搬入も行われている。
植松の作品は、2つのパーツが上下でつながるようになっているため、「ただ置く」だけの作業ではない。
これまた、野外彫刻らしからぬ(逆に言えば野外彫刻って何だろう?と思わせる)作品が台座に置かれた。
PEELERのインタビューで植松が「白は、輪郭がぼんやりした思考の色、生命の色で、自身の内面とつながる色」と語っているが、この白い色が屋外という偉大な存在の中でどうつながるのだろうか。
1年後の撤収のときに、白いままでいられるのだろうか。
作家の数だけ作品の種類があり、同じ台座の上にあっても違う料理が盛られているようだ。
目を楽しませる小さな道としてだけではなく、美術とは何か、美術は私たちとどう関わってくるものなのか。
ぼーっと生きてはいけない、熾烈な時代となっている。
少しの気づきを大切にしていこう、そうこの設置作業を見て感じたのである。
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