パリほど洗練されたイメージが浸透している街もないだろう。
しかし、森村誠はそんなパリの街を犬の糞で埋め尽くす―地図の上で。
『白い風景』と題された彼の個展では、地図を使った新作、文字を題材とした近作が展示されている。
『A Map of Paris <merde>』は、街で売っている旅行者向けの地図に表記されている
m/e/r/d/e(フランス語で犬の糞という意味)以外の全てのアルファベットが修正ペンで消されているという作品
(他、<shit> <fuck> <bitch> <nul>もあり)。(画像
A,B)こんなタブーワーズばかりな理由は、昨年パリでレジデンスを経験した作家自身が、「パリで何もいいことがなかった」と感じていたことが関係あるそうだ。
地図の中の、無数の白い点と線の中にコロコロと置き去りにされた五文字の「犬の糞」は、パリの道端に転がっている犬の糞を示しているかのようだ。
そして、バラバラにされた単語は、その意味や彼の気持ちとは裏腹に、単なる模様と化す。
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B
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B 『A
Map of Paris 』(部分)
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