様々なショップが立ち並ぶ表参道の裏通り。とある家具・雑貨店に入り小さな階段をのぼると、そこに去年オープンしたばかりの新しいギャラリー「hpgrpGALLERY東京」がある。アパレル企業のH.P.FRANCEが展開するアート事業の一拠点としてオープンした、これからの動向が注目されるスペースである。室内は板張りの床と白い壁が印象的な落ち着いた空間だが、今回のグループ・ショー「彫刻の本能 Vol.3」に展示された4人の作家たち(伊藤一洋、木下好美、高梨裕理、戸塚憲太郎)の彫刻作品は、静けさのなかでもどこか不穏な空気を見せつけてくるものばかりが揃っていて興味深い内容となっていた。(画像=a)
4人はそれぞれ異なる素材を用いて彫刻を制作している。伊藤がブロンズ、木下が非焼成の土、高梨が木、戸塚が磁土。追求する素材も表現も別々ではあるが、不思議と展示の全体的な印象がばらついていない。有機的な性質を備えた4人の作品が所々で呼応しているせいか、それともメリハリの効いた構成が空間をまとめ上げているせいか。理由は簡単に指摘できてしまうものではないのかもしれないが、一人の作家やひとつの作品を越えて複数の力が混じり合う場が生み出されることは、グループ・ショーだからこそ発生するマジックと言えるだろう。
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