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[西野達郎 ホテルヴィラ會芳亭」/神奈川]
西野達郎 ホテルヴィラ會芳亭
泊まれる作品 中華街でお待ちしています
TEXT 石山さやか
行ってきました、横浜トリエンナーレ。
長い長い旗のゲートをくぐり抜けた先の倉庫、内蔵の中でお茶を飲んだり、光るブランコに揺られたり、100円で絵を買ったり。
のんびり過ごしていたらあっという間に3時間が経過。
でもまだ、山下埠頭以外にも作品があるのだ。
山下公園を出て南へ徒歩10分。中華街に入ってほどなく、その建物は見えてきた。
「ホテル ヴィラ會芳亭」。
中華街の中にホテル。外装自体はさっぱりしているが、入り口に構える獅子がりりしい。それでは中に入ってみよう。
きちんとした受付を通り過ぎ客室に入ると、そこは一転して落ち着いた内装。カッシーニのソファーに、部屋の真ん中には真っ白い大きなベッド。そしてベッドの上には中華風の巨大な天蓋…というか東屋…。
実はこのホテル、中華街内の公園にもとからある東屋を囲うようにして建てられたものなのだ。
もちろん本当に泊まることもでき(会期中の宿泊予約はもういっぱいとのこと)、トイレやお風呂も完備。それにしても室内めいっぱいに鎮座するカラフルな東屋とシンプルな欧風家具のギャップはすさまじく、思わずぐるぐると観察してしまう。いつも人々を雨や陽射しから守っているこの東屋も、自分が壁天井に囲われる日が来るとは思ってなかっただろうなぁ…。
宿泊できる美術作品といえば、私は越後妻有アートトリエンナーレの「夢の家(マリーナ・アブラモヴィッチ)」と「光の館(ジェームズ・タレル)」を思い出す。二つの作品は伝統的な家屋を使いながらも精神的な世界をテーマにしていた。
比べると西野の作品は、もう少しこざっぱりとした感覚でつくられているようだ。それはドイツでの作品「天使」にも見られるような「普段はじっくり見ないものをそばにおいてみたい」感覚だろう。それはシンプルだけど、美術作品に接するときにはとても大切な気持ちだ。また、「場に関わる」あたり、トリエンナーレのディレクター川俣正の精神にもかなり近いものがあるなと感じた。
10月28日からは近くのBankartでも宿泊がテーマの展覧会が始まる。これからの美術作品は「見るもの」「体験するもの」だけではなく「泊まるもの」なのかも。
西野達郎 ホテルヴィラ會芳亭
(
横浜トリエンナーレ200
5参加作品)
神奈川県横浜市中区山下町公園
2005年9月28日〜12月18日
公式ウェブサイト
http://www.kaihoutei.com/
著者プロフィールや、近況など。
石山さやか(いしやまさやか)
1981年埼玉県生まれ
2003年創形美術学校卒
現在フリーター。イラストと文章少々書けます。
現代美術はまあまあ好きです。
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