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<物語が生まれる所>ふなばし現代美術交流展'05

展覧会フライヤー
物語が生まれる所の作家から
橋本トモコ・澤登恭子・野嶋奈央子
TEXT 塩入敏治

うだるような暑さの夏の日、船橋市民ギャラリーでは「物語が生まれる所」と題した展覧会が行なわれていた。
「今日の美術を考える会」の山本雅美さんがキュレーションしたもので、展覧会を構成する8人の作家は、それぞれユニークな表現を特徴としており、この展覧会を通じて新たな物語が生まれることへの期待は大きい。
中でも、格別に眼に留まった三人の作家について作品の印象を語ってみた。

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【橋本トモコ】
オレンジ、グレープ、アサガオをモチーフのグラフィカルなイメージの絵画。フラットな絵肌の造形はオールオーバーな広がりを予感させるもので、一ヵ所に留まるものでない。が、絵肌は堅牢で、造形は地の中にふかく刻まれているかのようでもある。白亜地に油彩の落ち着いた絵肌は、テンペラ画から学びとった技法という。自信のうえに成り立つ技法は、イメージを固定することなく、観る側の想像域を無限に拡大する。

 

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【澤登恭子】
作品を鑑賞するのは今回が初めて。いつも話題にはのぼっていただけに、初めて見るのは不思議な気がする。それほど情報による印象がつよすぎたのかも知れない。映像は、ひとつのリンゴをめぐって、男女が喰いちぎるもので、禁断の果実を食べるアダムとイブを連想させる。背景の荒涼とした土地と、無垢の美しさをイメージした人物描写が対照的。寓意性の裏に隠された意味をめぐて、思いは果てない。

 

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【野嶋奈央子】
色彩感覚と造形表現に以前から気になっていた作家だが、やはり確かなものを感じさせる、手ごたえのある表現といえる。枡状の造形を中心にして、そこから滴り落ちる絵具の痕が、抽象表現主義の様相を色濃くするも、具体的事物の象形を連想させなくもない。その既知感のうえに表現された造形性は、天性的ともいえる色彩感覚によって架空の次元へと引き込まれる。じっくり観るほど味わい深い作品。
 
   
<物語が生まれる所>ふなばし現代美術交流展'05
大谷有花・上野真由・澤登恭子・増田佳子・野嶋奈央子・橋本トモコ・畑絢子・武藤亜希子

船橋市民ギャラリー
(千葉県)
2005年8月17日(水)〜8月28日(日)

著者プロフィールや、近況など。

塩入敏治(しおいりとしはる)

現代美術コレクター(コレクター歴25年)
独立キュレーター(キュレーション多数)
GalleryReviewの発行
現代アート大好き人間

 

 

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