(左の写真)
左奥/丸野由希子、右奥/井出美幸、左前/三枝一将、右前/冨井大裕の作品
(右の写真)
左奥/窪田美樹、右奥/樋口立也、中央/冨井大裕の作品 |
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見上げてごらん 夜の星を
TEXT 藤田千彩
夏の空を見上げるのが、好きだ。
夏の大三角形や、さそり座が天に大きく広がっている。
武勇伝や哀しいストーリーの神話を思い出しながら、星座をたどるのもいい。
この夏「美術の星座」というタイトルの展覧会が行われた。
井出美幸、窪田美樹、三枝一将、冨井大裕、樋口立也、丸野由希子という、
6人の1960・70年代生まれの若手作家たちが作り出す、きら星のような若手作家の作品展示である。
「ギャラリーの床にやかんが半分ささってる!」と、まず目に入ったのは、床に半分埋まっていた、三枝一将のやかんの作品だった。
タイトルは、ずばり《やかん体、転倒する》(写真左手前)。
軽くジョブと笑いを受ける。
やかんの隣にある、冨井大裕のインスタレーション。
これまたタイトルそのままの作品なのだが、《five woods》(写真右手前)は1本の木を4本の木で支えている作品。
頬を引きつらせて笑いそうになるゆるさと、まじめにきちんと作っている整然さをあわせ持つ。
丸野由希子の《野菜庭園のつくり方》(写真左奥)は、折られた紙上で、にんじんなどが植わった(?)野菜庭園だった。
またくすッ、と笑ってしまう。
井出美幸は出品作家唯一といっていいだろう、絵画作品だった(写真右奥)。
太い輪郭の表現は、女性らしくて好ましい。
淡い色づかいと思わせておいて、目にはっきり映り、記憶に残る。
窪田美樹の作品は、今回は立体ではなかった。
透明なテーブルクロスのようなものに、うっすらと絵が描かれている。
まさに星座を見るときのような姿勢同様、
見過ごしてしまうものでもじっくり見れば見える、ということだろうか。
樋口立也の小箱は、たんなる小箱だった。
帰ろうと思ったら、受付の人に止められる。
「中を見てください」
少し屈んで、小箱を覗く。
ナルホド。
覗いてよかった、走り見してごめんなさい。
そうしてギャラリーのある聖蹟桜ヶ丘駅を出たら、その日はたまたま花火大会の日だった。
だから空に見えたのは星ではなかったが、美術の星たちは、今日もきらめきながら町を彩るのだろうか。
ずっと輝きつづけて欲しい。
ずっとそれを私は見ていたい。
美術の星座
ギャラリーくまい
東京都多摩市関戸2-40-3-1F(京王線聖蹟桜ヶ丘駅徒歩1分)
2005年8月7日〜13日 |
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