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studioZOU in 遊工房アートスペース


安田豊作品
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平丸陽子作品
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安田豊・平丸陽子 studioZOU
TEXT 塩入敏治

 東京造形大学出身の3人のアーティストが中心となって造形表現の実験的発表の場であるstudioZOUを遊工房アートスペース内に開設。ZOUは造と象をかねる合成語で、目的を明確に、象のようにゆっくりだが着実な活動を継続していこうという意志を表明している。初めての今回は、安田豊、平丸陽子、門田光雅らの中心メンバーのほかに竹内翔、渡辺依理をくわえ5人のアーティストが作品を発表した。展示は平面作品中心のところに立体のインスタレーションを織り交ぜている。
 アーティスト自身による実験的発表とあって、展示そのものは未完成の印象をぬぐえないが、個々の作品において注目すべき点が見えたのも事実。なかでも、安田豊と平丸陽子に注目した。安田豊は、メディアから引用したキャラクターイメージをステンシルの特性を生かしながら、あえてドットに分解するように表現している。テレビなどのメディアを通じた画像情報が日々の生活に浸透し、いつのまにか現場感覚との境界が疑似体験化して不明瞭になってしまった現代、ドットに置き換えられたイメージを表現することでそのことの意味を考えさせる。 また、飴の包み紙で折った手裏剣と、そこからパターンを読みとったステンシル作品など、造形の生成する主体について幼少体験から説明するものとして面白い。
 平丸陽子は、楔形の造形を規則的に配列した作品において、さまざまな工夫を凝らしながら絵画としての造形性について語っている。楔形が作品により模型飛行機のように、また十字架のように見えもするのは、地と図の関係において楔形の造形が表現する印象の違いにある。背景を色彩の異なる絵具で何層にも塗り、最後に満足できる色合において初めて楔形が造形として完成される。表面を滴るように塗られた絵具の痕跡は、その満足の度合いを表明しているかのよう。また、窓に展示された半透明な紙の作品では、外光が楔形の造形を自然の力で引き立てている。
 アーティスト・イン・レジデンスも含む遊工房スペースにふさわしく、若いアーティストたちの新鮮な試みが感じられ、studioZOUの今後に期待することの多い展覧会であった。

studioZOU in 遊工房アートスペース

2005年6月30日(木)〜7月11日(月) 

著者プロフィールや、近況など。

塩入敏治(しおいりとしはる)

現代美術コレクター(コレクター歴25年)
独立キュレーター(キュレーション多数)
GalleryReviewの発行
現代アート大好き人間


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