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そして二階に上がるとさらに様々なタイプの作品群が待ち受けているわけだが、ここでなんとなく普通の写真展ではないようだと気付いてくる。そもそもこの展覧会の題にもあるphotographers'
galleryとはなんなのか。写真家団体?それとも写真専門ギャラリー?
答えは両方ともyes。そしてand more。新宿2丁目にあるphotographers' galleryは写真家たち自身が共同運営しているギャラリーだ。つまり作家自身がギャラリー主。さらに自ら出版やイベントも手がけ、こうして過去に数回ギャラリー外でのグループ展も行っている。その会場が沖縄から青森まで、実に幅広いのにも驚いた。
自らが作品をつくり、自らが企画をしなくてはならない。それは作品制作以外の作業にも多く時間をとられるということだし、金銭的にも決して楽ではないはずだ。しかし逆に、スポンサーなどの意志に沿うことなく自分の表現に正直に作品が作れる、とも言える。
名古屋のロカビリーたちを真っ正面から捉えた元田敬三「名古屋が熱いぜ!」、日本各地のマイナーな観光地や広島の平和資料館の光景を、少しずらしたような視線で切り取る笹岡啓子「観光
KANKO」「PARK CITY」、作家各々の表現スタイルは本当に多岐に渡っている。同じ集団に属するからと言って足並みを揃えようなんて考えは、この人たちは毛頭持ってないのだろう。ただ、どの作家の作品にもひりひりした焼け付くような感覚、自分はずっと写真をやっていくんだ、写真でなにかを探してゆくんだというしっかりした指針のようなものを見ることができた。今回の展覧会には5年間の活動の総括的な意味合いも含まれているそうだが、私はむしろ、これまで進んできた、そしてこれからも変わりながら進んでゆくこの集団の現在進行形的なかたちを見た気がした。
会場にはphotographers' galleryの出版物なども数多く置いてあり、これらを眺めているだけでも時間はどんどん経っていってしまう。スタジオを出ると、既に日は落ちて海風も幾分涼しくなっていた。
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左)
北島敬三
「PORTRAITS」
右)
岸幸太
「傷、見た目」 |
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