スポーツするパフォーマンス
TEXT 山岸かおる
パフォーミングアートユニット“sal
vanilla”によるコラボレーティブライブシリーズ[Vanilla sports]の第1弾。
ショーは静的な松本光明のサウンドパフォーマンスから、“コトラニトラ” のアクロバティックでちょっと笑えるダンスパフォーマンスに移ると、会場の空気が次第に暖まる。真鍋大度による、ターンテーブルと映像を組み合わせたサウンドパフォーマンスのノイズによって観客のテンションが極限に達する中で、いよいよsal
vanillaのパフォーマンスが始まった。会場は200人を越える観客の期待で埋め尽くされていた。
発光性の塗料が塗られた真っ白な平均台が暗闇に浮き上がると、その後壁に、歩行者用信号機に書かれているような、記号化された人間のイメージが一つ、また一つと連なって歩く映像が流れる。そこへ白いつなぎをきた5人のメンバーが現れ、次々と平均台の上に飛び乗り、あるものはゆっくりと歩き、またあるものは全速力で走り出す。反復的、呼応的、シンメトリー/アンシンメトリーといったシクテマティックな動きや、自動販売機にコインを入れるなどの日常的な仕草が組み合わされたミニマルなパフォーマンスからは、コミュニケーションに対する問題意識が伺えた。
sal vanillaは、1994年に活動を開始し1997年からは活動拠点として、オルタナティブスペース「アトリエgog」を運営している。これまで国内では東京グロ−ブ座、ラフォーレ六本木・六本木ヒルズアリーナ等で公演し、海外では2001年ベルリン日独共同制作公演、2002年ソウル「NEXT
WAVE FESTIVAL2002」、2003年シンガポール「Little Asia 2003」(エスプラネードシアター)等の舞台芸術フェスティバルに参加するなど国際的な活動を展開している。テクノ/ハウス系(?)音楽と共に展開されるパフォーマンスは、社会的またはコミュニケーションの問題をテーマとしながら、サウンド、映像、動き、エンターティメント性の各要素がバランス良く融合し、高いクオリティが追求されている。今後のさらなる展開に期待したい。
Vanilla sports vol.01/re[per]forming!!
Super
Deluxe
2005年5月13日(金) |
著者プロフィールや、近況など。
山岸かおる(やまぎしかおる)
1977年東京生まれ。
東京芸術大学大学院修了。
美学校アートプロジェクトコース修了。
現在、横浜トリエンナーレ事務所に、キュレーターアシスタントとして勤務。 |
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