左/小笠原尚子《イエロー・ドロップ》、《6月の雨降り》
手前/三宅弘子《REVIVAL》
右/海見久子《鳥の詩−静かな朝》、《鳥の詩−競う》
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左/松島千紗《天(あま)の経(たて) 水の緯(ぬき)》
包帯を青く染め格子に編んでいる作品
中/吉本里絵《shiwa shiwa shi》
右/近藤照恵《Cycle−Rice Field》
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長谷川勢津子《KAMIMAKURA》
和紙で作られた座布団のような立体作品
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いづみユウ《Sisters》
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小田宏子《くもの柱》
ふくらんだ中身は立方体状に綿が詰められている
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スヤマ和代《千人ボタン》
さまざまな種類のボタンを縫い付ける参加型作品
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会場風景 |
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女性でも、地方でも
「アート・SUN」は、岡山県倉敷市在住の彫刻家・三宅弘子を中心とした女性アーティストによって構成された、女性ばかりの芸術家グループである。
2年に1度展覧会を開催し、18年目を迎えた今年は9回目の展覧会となった。
岡山だけでなく、広島、香川などの近県やアメリカ、ヨーロッパからの参加が見られる。
また、大学院卒業後の20代から70歳を越える年代まで、世代も超えた女性たちが集まっている。
その多くは、主婦であり、教職など働く女性である。
主催者である三宅弘子は、まだ円持ち出し禁止だった時代に、アメリカ・コロラド大学に留学して美術を学んだ。岡山に戻ってから、長い間教壇に立ちながら、自分の背より大きな木などを用いて彫刻を制作、発表してきた。
アート・SUN展に参加するアーティストたちも、ほとんどが美術系の大学を卒業し、個展やグループ展を開催・参加している実力派ぞろいである。
女性は男性に比べて、出産や子育て、介護といった「負担」がのしかかる。
「女性はそういった日常に、ストレスがたまっていくことも多い。私たちはそれを理解しあって、作品を作り、発表してきました」と三宅は言う。
実際、普段展覧会に足を運んでも、50歳前後の女性作家の作品というのをあまり見かけることがないのは、そういった“足かせ”が女性にはあるからに違いない。
アート・SUN創立メンバーの一人である小田宏子は、「子供を抱えて作品を作ったり、展覧会をしていた」と語った。
この会の特徴は、女性ばかりのグループである、ということだけではない。
多くの作家たちは、岡山などの「地方」を活動の拠点としている。
発表する場所、情報・記録というメディアなど、あらゆる面では地方では不利なことも多いはずだ。
しかし、画像を見ても分かるように、彼女たちはかなりレベルの高い作品を制作している。
制作に対する意識、そして生み出される作品は、場所は関係ないということを私たちに知らしめている。
「作品を作るとき、ビュッと出すか、ドロッと出すか。私たちはビュッと出すから、見ていても気持ちがいいの」と三宅は微笑む。
2年後、20周年の展覧会に向けて、今回の展示はアートSUNの歴史にまた新しい一ページを切り開いた。
TEXT 藤田千彩
第9回アート・SUN展
倉敷市立美術館
2005年3月23日〜27日 |
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